第20師団 (日本軍)

第20師団の概要

第20師団は、大日本帝国陸軍の師団の一つで、1915年（大正4年）に編成が決定されました。日露戦争で勝利を収めた日本は、その勢いで朝鮮半島を併合し、その警備体制を強化するために2個師団の増設を計画しました。その際に編成されたのが、この第20師団と第19師団です。両師団は朝鮮軍に所属し、朝鮮半島の警備を担いました。

編成と初期の活動

師団の兵士は、日本国内の複数の師管区で徴集されました。1927年（昭和2年）時点では、主に第4師管（大阪周辺）、第5師管（広島周辺）、第10師管（姫路周辺）、第11師管（善通寺周辺）、第12師管（小倉周辺）、第16師管（京都周辺）といった広範囲の地域から兵士が集められました。編成は1918年（大正7年）から本格的に始まり、師団司令部は1919年4月1日に京城府龍山に設置されました。当初、第20師団の所属連隊は、歩兵第77、第78、第79、第80連隊の4つでした。編成完了後、主に朝鮮南部の警備任務に従事しました。

大陸戦線での活動

1931年（昭和6年）の柳条湖事件をきっかけに、第20師団から抽出された兵力で混成第39旅団が編成され、満州へと派遣されました。同年12月には師団の主力も動員され、錦州攻略戦に参加し、1932年（昭和7年）4月に帰還しました。その後、1937年（昭和12年）7月の盧溝橋事件を契機に、華北戦線に投入されました。

太平洋戦線での活動

常設師団として戦力も充実していた第20師団は、第19師団とともに朝鮮半島で陸軍の総予備として待機していました。以前より対ソ連戦を想定した訓練を重ねていましたが、1941年（昭和16年）7月に動員が下令された後も、しばらくは京城で訓練を継続しました。しかし、1942年（昭和17年）に野砲から山砲への改編が行われたことで、満州以南への派遣が決定しました。1943年（昭和18年）には、隷下の歩兵第77連隊が第30師団隷下に移りました。

1943年（昭和18年）から第20師団はニューギニア戦線に投入され、オーストラリア軍と交戦しました。ニューギニアには25,000名の兵力が投入されましたが、激しい戦闘とマラリアなどの疾病により甚大な損害を被り、終戦までに生還し復員できたのはわずか1,711名でした。

師団の変遷と主要人物

師団長は以下の通りです。

浄法寺五郎 中将：1919年4月1日 - 1922年2月8日
菅野尚一 中将：1922年2月8日 - 1924年8月20日
引田乾作 中将：1924年8月20日 - 1927年7月26日
上原平太郎 中将：1927年7月26日 - 1930年8月1日
室兼次 中将：1930年8月1日 - 1932年8月8日
梅崎延太郎 中将：1932年8月8日 - 1935年3月15日
三宅光治 中将：1935年3月15日 - 1936年12月1日
川岸文三郎 中将：1936年12月1日 - 1938年6月23日
牛島実常 中将：1938年6月23日 - 1939年9月7日
七田一郎 中将：1939年9月7日 - 1941年4月10日
永津佐比重 中将：1941年4月10日 - 1942年8月17日
青木重誠 中将：1942年8月17日 - 1943年6月29日（戦病死）
片桐茂 中将：1943年7月2日 - 1944年4月28日（戦死）
中井増太郎 少将（後に中将）：1944年5月10日 - 終戦

また、参謀長、高級副官、兵器部長、経理部長、軍医部長、獣医部長もそれぞれ任命されていました。

所属部隊

第20師団の主な所属部隊は以下の通りです。

歩兵第39旅団
歩兵第77連隊（平壌）
歩兵第78連隊（龍山）
歩兵第40旅団
歩兵第79連隊（龍山）
歩兵第80連隊（大邱）
騎兵第28連隊（龍山）
野砲兵第26連隊（龍山）
工兵第20大隊（龍山、後に連隊に昇格）
馬山重砲兵大隊

その他、飛行第6連隊、高射砲第6連隊、輜重兵第20連隊、師団通信隊、師団兵器勤務隊、野戦病院なども隷下にありました。

太平洋戦争末期には、第20歩兵団、歩兵第78、79、80連隊、野砲兵第26連隊、工兵第20連隊、輜重兵第20連隊、師団通信隊、師団衛生隊、野戦病院、防疫給水部、病馬廠などが所属していました。

第20師団は、その長い歴史の中で、朝鮮半島から大陸戦線、そして太平洋戦争と、戦場を転々としながら、多くの将兵がその生涯を捧げました。

もう一度検索