第206飛行隊 (航空自衛隊)

第206飛行隊 (JASDF 206th Tactical Fighter Squadron)

航空自衛隊において、かつて中部航空方面隊の第7航空団に所属していた戦闘機部隊が、この第206飛行隊です。超音速ジェット戦闘機F-104Jおよび複座型のF-104DJを運用する航空自衛隊としては6番目の飛行隊として、昭和40年（1965年）に発足しました。茨城県の百里基地を拠点とし、昭和53年（1978年）に解隊されるまでの期間、主に首都圏を含む関東地方の防空、特に領空侵犯などに対する要撃任務を担いました。

部隊は、昭和40年（1965年）12月20日に、百里基地に所在する第7航空団隷下の戦闘機部隊として新編されました。これにより、航空自衛隊のF-104体制は一層強化されることとなります。部隊が運用したF-104J/DJは、当時の主力要撃戦闘機として日本の空を守る上で重要な役割を果たしました。

第206飛行隊の閉隊は、昭和53年（1978年）12月1日に行われました。これは、F-104の後継機となるF-4EJファントムIIを装備する新たな飛行隊、第305飛行隊が編成されたことに伴うものでした。第206飛行隊の役割は、後継部隊である第305飛行隊に引き継がれることになります。

部隊の象徴である部隊マークは、そのユニークなデザインで知られています。青いシェブロンを基調とし、その中に茨城県の水戸にある偕楽園の梅紋が描かれていました。この梅紋のデザインは、百里基地が所在する茨城県の地域性を示すとともに、後継の第305飛行隊にも引き継がれ、現在まで続く部隊のアイデンティティの一部となっています。

部隊の沿革を振り返ると、新編から閉隊までの約13年間にわたり、様々な活動が行われました。昭和40年（1965年）12月20日の編成後、部隊はF-104の習熟訓練を積み重ね、実任務に備えました。編成から約1年半後の昭和42年（1967年）3月13日には、航空機運用における安全性を示す重要な指標である無事故での総飛行時間5,000時間を達成する記録を残しました。これは、部隊の高い錬度と整備体制を示す成果と言えます。

しかし、順調な飛行を続ける一方で、同年4月26日には、所属するF-104J戦闘機1機が、訓練中に連絡機であるT-33A練習機と空中接触し墜落するという痛ましい事故も発生しています。このような困難な状況も経験しながら、部隊は任務遂行に邁進しました。

実任務体制への移行も早期に進められ、昭和42年（1967年）8月22日からは、百里基地における緊急発進（アラート）待機任務を開始しました。これは、領空侵犯などが発生した場合に即座に戦闘機を発進させるための任務であり、首都圏防空の最前線としての第206飛行隊の重要性を示す出来事でした。以来、閉隊までの間、部隊は常に有事に備え、警戒態勢を維持し続けました。

最終的に、昭和53年（1978年）12月1日、F-4EJファントムIIの配備に伴う部隊改編の一環として、第206飛行隊はその歴史に幕を下ろし、解隊されました。部隊が運用したF-104J/DJ戦闘機は、その任務を終え、航空自衛隊における新たな時代の幕開けとなりました。

第206飛行隊が運用した主な航空機は、主力戦闘機であるF-104J/DJ（昭和40年/1965年～昭和53年/1978年）のほか、連絡や訓練支援に用いられたT-33A練習機（昭和40年/1965年～昭和53年/1978年）があります。これらの航空機と共に、部隊は日本の空の安全を守る任務に従事しました。

前述の通り、第206飛行隊の閉隊と同時に編成された第305飛行隊は、第206飛行隊の精神と伝統の一部、特に梅紋の部隊マークを受け継ぎ、F-4EJ戦闘機（後にF-15Jへ改編）を運用する部隊として現在も活動を続けています。第206飛行隊は短期間の活動でしたが、航空自衛隊の歴史において、F-104時代の一翼を担った重要な部隊でした。

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