第28回社会人野球日本選手権大会

第28回社会人野球日本選手権大会

2001年（平成13年）秋、社会人野球の年間王者を決める第28回日本選手権が、10月6日から14日までの9日間、大阪ドームを舞台に開催されました。

大会の背景と出場チーム

この年の大会には、例年とは異なるいくつかの特徴がありました。まず、前年の優勝チームである松下電器が2回戦で姿を消し、また、夏の都市対抗野球を制した河合楽器は予選で敗退。さらに河合楽器はこの後、野球部の活動停止を発表するという衝撃的な展開を迎えます。

一方で、全国大会の舞台に初めて立つチームも現れました。創部から21年目の七十七銀行、8年目の一光、そしてわずか2年目のフレッシュなチームである松山フェニックスが初出場を果たしました。また、夏の都市対抗では常連のいすゞ自動車とJR東日本が、この秋の選手権には初めて駒を進めています。

地区ごとの出場枠も見直され、北海道と北信越地区はそれぞれ2から1へと削減された一方、関東地区は4から6へと増加しました。

金属バット最後の記録ラッシュ

この第28回大会の最も大きな特徴は、翌年から木製バットへの全面移行が決まっていたため、これが金属バットを使用する最後の選手権となったことです。金属バット特有の高い反発力も相まって、大会を通じてホームランが飛び交い、文字通りの打撃戦が各所で展開されました。その結果、全25試合で生まれた総得点は「307」に達し、これは現在も破られていない大会記録となっています。記録的な打撃戦が、この大会を記憶に残るものとしました。

初優勝に輝いた三菱重工長崎

激しい戦いを勝ち抜き、大会の頂点に立ったのは三菱重工長崎でした。彼らの最大の武器は、破壊力抜群の強力打線と、後藤隆之投手、杉内俊哉投手という左右二枚看板の安定した投球でした。投打が見事に噛み合った理想的な戦いぶりで、決勝では東芝を破り、チームとしてこの日本選手権で初の栄冠を手中に収めました。

大会を彩った選手たちと記録

大会後には、個人を称える表彰が行われました。

最高殊勲選手賞: 後藤隆之投手（三菱重工長崎）- 優勝チームのエースとしてMVPに選出。
敢闘賞: 銭場一浩投手（東芝）- 準優勝チームの原動力となった力投が評価されました。
打撃賞: 村上竜太郎外野手（三菱重工長崎）
首位打者賞: 開田博勝外野手（三菱重工長崎）- 18打数12安打、打率.667という驚異的な成績を残しました。

その他、多くの選手が大会優秀選手として選出され、それぞれの活躍が讃えられました。

また、金属バット最後の大会らしく、多くの大会記録が生まれました。特に三菱重工長崎は記録更新の中心となり、2回戦の松山フェニックス戦では、1試合24安打、1試合23得点、1イニング14得点、そして先発全員安打全員得点という、打撃に関する複数の新記録やタイ記録を樹立し、その圧倒的な攻撃力をまざまざと見せつけました。大会通算最多得点307や、通算最多安打529など、数字の上でも記憶に残る大会となりました。

第28回大会は、初優勝チームの誕生、フレッシュな顔ぶれの登場、そして金属バットが生んだ記録的な乱打戦など、多くの話題を提供し、社会人野球の歴史に深く刻まれる大会となりました。

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