第28師団 (日本軍)

第28師団（だいにじゅうはちしだん）

第28師団は、大日本帝国陸軍の師団の一つで、1940年（昭和15年）に関東軍の直轄部隊として満州の新京で編成されました。主にハルピンやチチハルで警備任務に就いていました。

編成と活動

1940年7月10日に編成された後、同年11月には師団制毒訓練所が設けられました。1941年8月には関東軍特種演習に参加し、高定員準戦時編成となりました。この際、砲兵団司令部、防疫給水部、師団制毒隊、衛生隊、野戦病院、兵器勤務隊、病馬廠などの部隊が動員・編成され、内地からの野戦病院も合流しました。当初は関東軍直轄の機動予備部隊として、湿地突破やトーチカ攻略訓練を行っていました。

1941年12月8日の対米開戦後、関東軍は静謐保持を命じられ、1942年11月25日には在満師団は駐屯体制に復帰し、編成が縮小されました。師団制毒隊、衛生隊、兵器勤務隊、病馬廠、野戦病院などが復員・復帰しました。

南方への転用と終戦

1943年9月、絶対国防圏が設定されると、当初は中国からの兵力転用が計画されましたが、状況の変化により満州駐留部隊からの南方への転用が始まりました。1944年1月には第28歩兵団司令部が復帰しましたが、6月には連合国軍がサイパン島に上陸し、絶対国防圏の要であるサイパン奪還作戦のために、第28師団の歩兵第36連隊が派遣されました。しかし、サイパン守備隊が玉砕したため作戦は中止となり、同連隊は師団に復帰しました。

1944年6月26日、師団主力は南西諸島に転用され、第32軍戦闘序列に編入されました。宮古島・石垣島方面の防衛を担当し、この地域の部隊をまとめる「先島集団」が設けられ、師団長が司令官に就任しました。1945年4月1日、連合国軍は宮古・石垣島を越えて沖縄本島に上陸し、第28師団は先島諸島での防衛を強化しましたが、交戦することなく8月15日に終戦を迎えました。

終戦とその後

終戦時、第28師団の上級司令部である第32軍の幹部は沖縄戦で自決していたため、第28師団長の納見敏郎中将が連合国軍に対する降伏文書に調印しました。納見師団長は、部下将兵の復員に目処がついた同年12月13日に自決しました。

歴代師団長

石黒貞蔵 中将：1940年（昭和15年）8月1日 - 1943年（昭和18年）3月1日
櫛淵鍹一 中将：1943年（昭和18年）3月1日 - 1945年（昭和20年）1月12日
納見敏郎 中将：1945年（昭和20年）1月12日 - 終戦

歴代参謀長

浅野克己 歩兵大佐：1940年（昭和15年）8月1日 - 1941年10月31日
福地春男 大佐：1941年（昭和16年）10月31日 - 1945年2月1日
一瀬寿 大佐：1945年（昭和20年）2月1日 - 終戦

最終所属部隊

歩兵第3連隊（東京）：衿土軍大佐
歩兵第30連隊（高田）：富沢国松大佐
歩兵第36連隊（鯖江）：田村権一大佐
騎兵第28連隊：上田巌大佐
山砲兵第28連隊：梶松二郎大佐
工兵第28連隊：外賀猶一大佐
輜重兵第28連隊：宮川正少佐
第28師団通信隊：国武達雄少佐
第28師団兵器修理所：藤本武輝大尉
第28師団第2野戦病院：三好祝二軍医大尉
第28師団第3野戦病院：横井忠男軍医大尉
第28師団第4野戦病院：辻義春軍医少佐
第28師団防疫給水部：石塚政夫軍医少佐
第28師団制毒訓練所：那須憲三少佐
第28師団病馬廠：保坂斯道獣医大尉

参考文献

外山操・森松俊夫編著『帝国陸軍編制総覧』芙蓉書房出版、1987年。
秦郁彦編『日本陸海軍総合事典』第2版、東京大学出版会、2005年。
福川秀樹『日本陸軍将官辞典』芙蓉書房出版、2001年。
外山操編『陸海軍将官人事総覧 陸軍篇』芙蓉書房出版、1981年。
グランドパワー『日本軍機甲部隊の編成装備(1)』。
グランドパワー『日本軍機甲部隊の編成装備(2)』。
グランドパワー『日本軍陸軍の特種部隊』。
『陸軍戦備』朝雲新聞社。
別冊歴史読本特別増刊号『日本陸軍連隊総覧・歩兵編』。
別冊歴史読本特別増刊号『日本陸軍機械化部隊総覧』。
別冊歴史読本特別増刊号『日本陸軍部隊総覧』。
別冊歴史読本特別増刊号『日本陸軍師団総覧』。
別冊歴史読本特別増刊号『日本陸軍総覧』。
別冊1億人の昭和史『日本陸軍史』、毎日新聞社。
1億人の昭和史『日本の戦史』シリーズ①～⑩、毎日新聞社。

関連項目

* 大日本帝国陸軍師団一覧

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