第29回日本レコード大賞

第29回日本レコード大賞の概要

1987年12月31日、東京の日本武道館で開催された第29回日本レコード大賞は、特に多くの注目を集めました。この年の大賞には、近藤真彦の「愚か者」が選ばれ、ジャニーズ事務所に所属するアーティストとして初めての栄誉となりました。近藤の受賞は、歌手としての彼の人気を証明するものであり、特に財テクや不動産の乱高下に対する批判的な側面が評価されたと言われています。

同年は、近藤の「愚か者」とともに光GENJIの「STAR LIGHT」が候補に挙がりましたが、光GENJIはデビュー曲のために辞退する決断をしました。最終的には、近藤が五木ひろしの「追憶」との接戦を制して大賞を獲得しました。この年の授賞式は、前年まで司会を務めた森本毅郎によって進行されました。さらに、大賞を受賞した歌手にはこれまでの車から賞金100万円に変更されるという新たな副賞が設けられました。

特別大衆賞

特別大衆賞に輝いたのは、オリコン年間シングルチャートで1位を獲得した瀬川瑛子の「命くれない」と、3連覇を狙った中森明菜の「難破船」でした。この賞は、1984年の第26回以来3年ぶりに復活し、多くのファンの注目を浴びました。視聴率は29.4%と前年より0.4ポイント下落し、30%を割り込む形となりました。

受賞をめぐる騒動

近藤真彦の大賞受賞をめぐる騒動も印象深い出来事です。授賞式直前に、近藤の母親の遺骨が盗難に遭い、「レコード大賞を辞退しろ」という脅迫状が送られるという事件が発生しました。結果的に、この出来事は受賞に影響を与えることはありませんでしたが、報道されたのは翌年の1月4日でした。

この年の大賞受賞に対する意見は様々であり、音楽評論家や関係者の間では傾向や背景についての分析が行われました。中には、アーティスト・セールスでトップを獲得した中森明菜が受賞するべきという意見もあったが、彼女は受賞に対して消極的であるとされ、その結果心証が悪化したという見解もありました。また、五木の陣営は賞獲りへの強い執念を見せていたことが、審査に影響を与えたのではないかとも言われています。

受賞者一覧

• - 日本レコード大賞: 「愚か者」 - 近藤真彦
• - 最優秀歌唱賞: 「女の駅」 - 大月みやこ
• - 最優秀新人賞: 立花理佐（「キミはどんとくらい」）
• - アルバム大賞: 「LICENSE」 - 長渕剛
• - 特別大衆賞: 瀬川瑛子（「命くれない」）、中森明菜（「難破船」）
• - ベストアーティスト賞: 少年隊（「バラードのように眠れ」）

このように、第29回日本レコード大賞は、アーティストにとって重要な節目となった年であり、多くのドラマと共に記憶されることでしょう。

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