第3回東京音楽祭

「第3回東京音楽祭」（正式名称：The 3rd Tokyo Music Festival International Contest）は、1974年に開催された国際音楽祭です。この年の世界大会（ファイナル）は、1974年 6月30日に東京の帝国劇場にて盛大に行われました。最も注目を集めたのは、カナダから参加した当時13歳の少年歌手、ルネ・シマールがグランプリに輝いたことです。彼の若さでの栄冠は大きな話題となりました。

大会の概要と流れ

第3回大会には、海外27カ国から301曲がエントリーされました。国内からの正確なエントリー数は不明ですが、プログラム記載の20曲は国内予選通過数であり、実際にはその十倍程度が応募されたと推計されます。大会方式は前年から変更され、国内大会が「一般部門」と「新人部門」に分けられました。

国内大会（新人部門「ヤングの祭典」）: 5月16日に日比谷公会堂で開催。新人大会が別日程で行われ、「シルバーカナリー賞」が新設されたのはこの回が初めてです。エントリー64曲から選ばれた20組が出場し、シルバーカナリー賞候補の5組が選出されました。大会の模様は5月18日にTBS系テレビで放送されています。
国内大会（一般部門）: 5月25日午後3時から日劇にて開催。事前選考を通過した20組から、世界大会出場権を得る「ゴールデンカナリー賞」の3組（五木ひろし、ザ・ピーナッツ、布施明）が選ばれました。また、この大会で麻生よう子が初のシルバーカナリー賞を受賞（ただし、この回は世界大会出場権なし）。大会は同日午後からTBS系テレビ・ラジオで生中継されました。

世界大会はセミファイナルとファイナルの二段階で行われました。

セミファイナル: 6月29日午後1時から帝国劇場で開催。海外参加21曲（実際は20曲）から、ファイナル進出の10曲が選ばれました。
ファイナル: 6月30日午後7時から帝国劇場で開催。セミファイナル通過の海外10曲と国内3曲、合計13曲でグランプリが争われました。この決勝大会もTBS系テレビ・ラジオで生中継されています。

世界大会の演奏は高橋達也と東京ユニオン、クリエイト管弦楽団、コーラスはウィルビーズが担当しました。

参加アーティストとゲスト

本大会には豪華な司会者、ゲスト、審査員が集結しました。

司会者: 三木鮎郎（ファイナル）、土居まさる、アン・ルイス（セミファイナル・ファイナル）。
ゲスト: 世界的な歌手シャーリー・バッシーがゲストシンガーとして出演し、ファイナル当日にショーを行いました。
特別審査員: フランク・シナトラが特別審査員として参加。12年ぶりの来日として大きな話題となりました。
審査員: 審査委員長は作曲家の服部良一氏。国内外の音楽関係者や著名人（アウグスト・アルグエロ、蘆原英了、ジョーン・コリンズ、フランシス・プレストンなど）が審査にあたりました。

受賞結果と大会を彩るエピソード

グランプリ: ルネ・シマール（カナダ）
金賞: ザ・スリー・ディグリーズ（アメリカ）
作曲賞: A. ババジャニャン（ソビエト）
編曲賞: フランシス・レイ（フランス）
* シナトラ賞: フランク・シナトラの特別審査を基に設けられた最優秀歌唱賞で、ルネ・シマールに贈られました。シナトラ本人から250万円相当の腕時計が手渡されています。グランプリの賞金は300万円でした。

この大会は、ルネ・シマールが13歳という若さでグランプリとシナトラ賞を同時受賞したことが最も大きな話題となりました。また、フランク・シナトラの特別参加、東欧のスターであるカレル・ゴットの来日などが注目を集めました。

一方で、ソ連代表のムスリム・マゴマエフが歌った楽曲「Чёртово колесо」のタイトルが、プログラムなどで「悪魔の車輪」と誤訳されていたというエピソードも知られています。これは通常「観覧車」を指す言葉ですが、ロシア語圏には観覧車を比喩的にそう呼ぶ場合があること、またはマゴマエフのパフォーマンススタイルなどから、一概に誤訳ではないという見方もあります。また、マゴマエフがファイナルを棄権したという説がありましたが、後の資料からこれは否定されています。

国内大会の予選には、ゴールデンカナリー賞・シルバーカナリー賞受賞者以外にも、麻丘めぐみ、いしだあゆみ、西城秀樹、沢田研二、野口五郎、南沙織、森進一、山本リンダ、由紀さおり、和田アキ子など、当時の日本の人気歌手たちが多数出場しています。

第3回東京音楽祭は、若き才能の台頭、世界的スターの参加、そして多くのエピソードと共に、音楽史にその名を刻む国際的な祭典となりました。

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