第3.9世代移動通信システム

第3.9世代移動通信システム（3.9G）とは

第3.9世代移動通信システム（3.9G）は、第3世代移動通信システム（3G）を高度化させた通信技術の総称です。国際電気通信連合（ITU）が定めるIMT-2000規格である3Gを基盤としつつ、より高速で効率的な通信を目指して開発されました。3Gと次世代の4Gとの中間に位置づけられる技術であり、モバイルWiMAXやLTEといった通信規格が含まれます。

3.9Gの特徴

3.9Gは、3Gの通信速度を大幅に向上させることを目指して開発されました。有線回線と比較するとADSLと同程度の通信速度を実現しています。また、OFDMAなどの4Gに近い技術を採用し、周波数の有効利用とユーザーの利便性向上を目的としています。

技術的には3.5世代（3.5G）に分類されることもあり、Pre-4Gや3G Evolutionといった呼称も用いられます。しかし、マーケティング戦略上、4Gとして宣伝されることもあります。3Gからのスムーズな移行と4Gへの発展を視野に入れた技術であり、通信業界の進化において重要な役割を果たしました。

各国における導入状況

日本

日本では、NTTドコモが「Xi（クロッシィ）」として2010年12月にサービスを開始しました。その後、イー・アクセス（現・ワイモバイル）が「EMOBILE LTE」、KDDI（au）が「au 4G LTE」、ソフトバンクモバイル（現・ソフトバンク）が「SoftBank 4G LTE」と、各社が相次いでサービスを開始しました。これらのサービスは、3G用に割り当てられた周波数帯を転用したり、3.9G向けに新規に割り当てられた周波数帯を利用したりしています。また、UQコミュニケーションズの「UQ [[WiMAX]]」や、ソフトバンクの「SoftBank 4G」のように、BWA向けの周波数帯を利用したサービスも展開されました。

中国

中国では、中国移動がTD-LTE方式を採用し、中国聯通と中国電信はLTE方式でサービスを提供しています。このように、各国や地域によって採用される通信方式には違いが見られます。

その他の国

3.9Gは、世界各国で導入されました。各国がそれぞれの事情に合わせて周波数帯や通信方式を選択し、サービスを展開しました。

3.9Gの基本要件

3.9Gには、以下の基本的な要件が求められました。

下り50Mbps以上、上り25Mbps以上の通信速度
周波数利用効率を3.5Gより2～3倍以上に高める
低遅延
オールIPネットワーク
国際ローミングが可能
4Gへの移行が円滑にできること

3.9Gの通信規格

総務省の情報通信審議会では、以下の通信規格が挙げられました。

LTE
UMB
モバイルWiMAX

これらの規格は、各社の技術開発競争を促し、より高度な通信技術へと発展する原動力となりました。

今後の展開

3.9Gの導入は、端末とキャリアの分離を促進し、通信業界の競争を激化させました。総務省は、次世代においては端末とキャリアの完全分離（SIMロック解除）を基本方針とする方向を示しました。この動きは、端末メーカーにとっては開発コストの削減につながり、海外メーカーにとっては日本市場への参入障壁が低くなることを意味しました。一方で、キャリアはネットワークインフラとコンテンツ提供に特化することになり、より競争が激化しました。このような市場環境の変化は、通信料金の引き下げにつながる可能性を示唆しています。

関連情報

3.9Gは、モバイル通信の進化において重要な一歩となりました。この技術は、高速通信の普及を促進し、スマートフォンなどのモバイルデバイスが広く利用される基盤となりました。現在では、4G、そして5Gへと技術が進歩していますが、3.9Gが果たした役割は非常に大きいと言えるでしょう。

関連項目

移動体通信
Xi（クロッシィ）

外部リンク

「第３世代移動通信システム（IMT-2000）の高度化のための技術的方策（案）」に対する意見募集 | 総務省
3.9世代移動通信システム等の導入に係る公開ヒアリングの結果 | 総務省
3.9世代移動通信システムの導入に向けて 情報通信審議会からの一部答申 | 総務省
3.9世代移動通信システムの導入のための特定基地局の開設に関する指針案等に対する意見募集 | 総務省
「3.9Gはどうなる？」、総務省で公開ヒアリング | ケータイWatch

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