第4次伊藤内閣

第4次伊藤内閣の概要

第4次伊藤内閣は、伊藤博文が第10代内閣総理大臣に任命され、1900年10月19日から1901年6月2日までの間、内閣を運営した日本の政治機関です。この内閣は、特に議院内閣制の本格的な導入を目指した点が特徴的であり、当時の政治状況を大きく変える試みでした。

内閣の顔ぶれと人事

伊藤内閣の成立時、国務大臣として任命されたメンバーの中には、渡辺国武や原敬といった官僚が在籍しました。また、内閣書記官長や法制局長官も新たに選任されました。伊藤の在任中、彼は総じて204日間内閣を運営しましたが、この間の人事の調整はスムーズではありませんでした。特に官僚派と党人派との間でのポストの調整が難航し、結果的に官僚派が重要ポストを多く占めることとなりました。

政治的背景と内閣の動き

この内閣が発足する以前、日本の内閣は一般的に民意から一定の距離を取る超然主義を掲げていました。しかし、これは議会に基盤を持たない野党の連合体を形成する結果を生み出し、政権運営は非常に不安定な状況にありました。伊藤は、この状況を打開しようとし、立憲政友会を結党しました。これにより、政党内閣の体制を強化する意図がありました。

伊藤が総裁を務める政友会は、政界において重要な役割を果たすことになりますが、彼の活動は山縣有朋首相の影響を受ける形でも進展しました。山縣は伊藤の動きを警戒し、彼に対抗する形で首相の座を辞任しつつ、伊藤を後継者に推薦しました。このように、政友会と政界との関係が微妙に交錯し、内閣形成は困難を極めました。

内閣の課題とその反応

衆議院の政友会の支持は確保されていたものの、貴族院では山縣派の攻撃が強烈でした。特に、星逓相にまつわる汚職事件は内閣にとって大きな打撃となり、内部対立を招く要因ともなりました。この汚職事件に端を発し、星逓相が辞職したことで官僚派と党人派の対立が再燃し、それが内閣の安定性をさらに脅かしました。

内閣は、北清事変への対応など様々な政策を議会に提案しましたが、意見の対立から貴族院での予算案が否決される事態に至ります。これを受けて、内閣は解散総選挙を提案しましたが、内部の意見対立からその実施には至りませんでした。このような困難な状況の中で、伊藤は元老たちと協議を重ね、最終的に天皇の詔書によって予算案は承認されることとなります。

辞任とその後の展開

内閣の運営が困難を極める中、渡辺蔵相の提案や政友会内での反発もあり、伊藤は1901年5月に辞任しました。その後、西園寺公望が臨時的に首相に就任し、続いて桂太郎が新たに内閣を形成しました。伊藤の辞任後、元老会議が開かれ再登板の機会を狙ったものの、その実現には至りませんでした。

第4次伊藤内閣は、大日本帝国憲法下の唯一の第4次内閣であり、以降の歴代内閣にもその名前が引き継がれることはありませんでした。政治の流れが変わる中、伊藤内閣の試みはその後の日本の内閣制度に影響を与えることとなります。

参考文献

• - 伊藤之雄『伊藤博文 近代日本を創った男』講談社、2009年。
• - 佐々木隆『日本の歴史21 明治人の力量』講談社、2002年。
• - 瀧井一博『伊藤博文 知の政治家』中央公論新社、2010年。
• - 升味準之輔『日本政治史 2 藩閥支配、政党政治』東京大学出版会、1988年。

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