超然主義

超然主義とは

超然主義（ちょうぜんしゅぎ）は、外的な影響から独立し、自らの立場を貫くという信念や姿勢を指します。この考え方は、特に大日本帝国憲法が施行された後の大正時代初期において、日本の内閣が採った立場として知られています。内閣が議会や政党の意思に左右されることなく独自の方針で行動すべきだという主張が強調され、そのような内閣を「超然内閣」と呼びます。

超然主義の発表

この主義の具体的な考え方は、1889年2月12日、黒田清隆が東京の鹿鳴館で行った「超然主義演説」において明言されました。この演説には、地方官や政府関係者が集まっていました。翌日には、憲法草案を主導した伊藤博文も似たような主張を行いましたが、これは憲法起草メンバーからは否定的な反応を引き起こしました。井上毅や伊東巳代治、金子堅太郎といったメンバーは、黒田や伊藤の指摘した主張は、ドイツのビスマルク型の専制政治を日本に導入しようとするものであると主張しました。

反対意見と歴史的な文脈

批判者は、黒田や伊藤の見解が、天皇や国民の声を無視していると感じていました。彼らは、議会の意思に基づかない内閣の行動は、国民の意向に反するものであるとの理由から、議会の決定を尊重するべきだと強調しました。この立場は、「民の声は神の声なり」というホメロスの言葉や、明治天皇が誓った政治への公論の重要性に基づいています。

超然主義の脆弱性

しかし、帝国[[議会]]が稼働すると、特に「民党」と呼ばれる野党が強力な抵抗を示しました。超然内閣で発生した問題や民権派による反発は、結果的に議会の活動を停滞させる原因となり、政府と国民との関係を悪化させました。さらには、当時の帝国憲法自体が超然主義を前提としていなかったことも明らかになりました。

動乱と変化

伊藤博文は、超然主義に固執することで逆効果になると認識し、1900年には立憲政友会を結成して自己の政治方針を実現しようとしました。この新たな動きは、議会との対立を修正し、現実の政治に対応するためのものでした。その後も、貴族院においては、いくつかの派閥が超然主義を強調し続けましたが、最終的に1924年に成立した清浦内閣は、国民の支持を失い、再び護憲運動の波にのまれました。

超然主義のその後

このように、超然主義はその成立当初から長い間議論の的でありましたが、大正デモクラシーの進展とともに、その存在意義を失っていきました。また、旧制高等学校の一部では、この主義を標榜した事例もあり、議会政治とは無関係な教育理念としての側面もありました。

超然主義の歴史は、日本の政治の中における重要な教訓を提供しています。内閣が国民や議会にどう向き合い、その関係がいかに形成されるかは、今後の政治の在り方にも影響を与えていく姿勢となるでしょう。

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