第44師団 (日本軍)

第44師団：本土防衛のために編成された機動打撃師団

第44師団は、1944年（昭和19年）4月4日に、大日本帝国陸軍の留守第4師団を基幹として大阪で編成されました。これは、本土防衛を強化するための措置の一環でした。当初、中部軍の指揮下に入っていましたが、1945年（昭和20年）3月に関東平野へと進出し、茨城県東茨城郡小川町（現在の小美玉市）にあった百里ヶ原海軍飛行場（現在の茨城空港および航空自衛隊百里基地）に駐屯しました。

同年4月8日、第44師団は土浦市に本陣を置く第51軍の戦闘序列に組み込まれました。第51軍は、沿岸配備師団である第221師団が守備する地域から出撃し、攻撃を仕掛ける機動打撃師団としての役割を担うことになりました。これは、連合国軍による本土上陸作戦（決号作戦、米軍コードネーム：コロネット作戦）が実行された場合、茨城県鹿行地域（現在の鹿嶋市、行方市、神栖市、鉾田市）が上陸地点として予想されていたため、その防衛を担うためでした。

しかし、1945年8月15日、鈴木貫太郎内閣がポツダム宣言を受諾し、日本は降伏しました。これにより、第44師団は武装解除され、本土決戦でその能力を発揮する機会を失い、その任務を終えることとなりました。

師団の概要

第44師団は、その短い活動期間の中で、以下の変遷を辿りました。

歴代師団長
関原六 中将：1944年4月6日 - 1944年4月13日
川並密 中将：1944年7月8日 - 1945年3月19日
谷口春治 中将：1945年3月19日 - 終戦

参謀長
村岡弘 大佐：1944年4月6日 - 終戦

最終所属部隊
歩兵第92連隊（大阪）：伊奈重誠大佐
歩兵第93連隊（大阪）：大沢勝二大佐
歩兵第94連隊（和歌山）：工藤豊雄大佐
野砲兵第44連隊（信太山）：高雄実大佐
工兵第44連隊（高槻）：窪田英夫中佐
輜重兵第44連隊（曽根）：金沢善治大佐
第44師団速射砲隊（曽根）：鮫島良武少佐
第44師団通信隊（大阪）：徳永貞少佐
第44師団兵器勤務隊
第44師団衛生隊
第44師団第1野戦病院
第44師団第4野戦病院
第44師団制毒隊（曽根）
第44師団病馬廠

参考文献

外山操・森松俊夫編著『帝国陸軍編制総覧』芙蓉書房出版、1987年。
秦郁彦編『日本陸海軍総合事典』第2版、東京大学出版会、2005年。
福川秀樹『日本陸軍将官辞典』芙蓉書房出版、2001年。
外山操編『陸海軍将官人事総覧 陸軍篇』芙蓉書房出版、1981年。

関連項目

大日本帝国陸軍師団一覧

第44師団は、その短い活動期間の中で、本土防衛のために重要な役割を担うことが期待されていましたが、終戦によりその使命を果たすことなく解散しました。しかし、その存在は、当時の日本の状況と、本土決戦に向けた軍の動きを示す重要な歴史の一部として記録されています。

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