第4SS警察装甲擲弾兵師団

第4SS警察装甲擲弾兵師団は、第二次世界大戦中に存在した武装SSの38個師団のうちの一つです。この師団は、1939年 9月18日にアドルフ・ヒトラーが秩序警察から師団を編成するよう命令したことに端を発し、同年10月1日に編成されました。

当時、秩序警察はSSの管轄下にあり、形式上は武装SSではありませんでしたが、組織の長は同じヒムラーであり、実質的には武装SSと同等の扱いでした。警察官を基幹とした部隊編成は、国防軍への配慮から人的資源を十分に確保できないSSが、将来的な武装SSの拡大を見据え、警察の人員を活用したことによるものです。フランス戦や独ソ戦に参加した後、1942年 2月24日に正式に武装SSの部隊となりました。1943年には装甲擲弾兵師団に改編され、終戦時にはアメリカ軍に降伏しました。

構成員の大部分が秩序警察出身であったため、9割以上が自動車の運転免許を所持していたという点も特徴的です。

編成とフランス戦

師団の編成は、1939年 9月18日のヒトラーによる命令に基づき、同年10月1日に完了しました。1934年頃から存在していた警察人員を基幹とする補充部隊を基に、3個連隊、1個偵察大隊、通信大隊などが編成されました。

警察官が主体であったため、装備や経験の面で通常の第一線部隊としては不足している点がありました。ポーランド戦には間に合わず、フランス戦では、1940年1月から5月にかけて、ドイツとフランスの国境付近であるフライブルク近郊に配置され、第7軍の指揮下で国境警備と並行して訓練を実施しました。この際、フランス軍との小規模な戦闘で11名の犠牲者を出しています。フランス戦初期のフランス北部への侵攻作戦（Fall Gelb）では、戦略予備としてテュービンゲン近郊に移動しました。フランス北部での勝利が確定した後、フランス本土への侵攻作戦（Fall Rot）の発動に伴い、第12軍に配備され、ルクセンブルクを通過してパリへ進軍しました。マース川沿いに進軍する中で、フランス軍との散発的な戦闘がありましたが、既に敗北が決定的な状況であったため、フランス軍の士気は低く、大きな損害を出すことはありませんでした。

フランス降伏後は、1941年6月頃まで、パリを含むフランス北部の占領部隊としてサン＝ディジエに駐留しました。この間、訓練や改編が行われましたが、部隊としての位置づけは二線級のままでした。独ソ戦が開始されると、部隊は東部戦線に送られました。

独ソ戦、ルガ攻略戦

独ソ戦では、北方軍集団の第4装甲軍に配備されました。師団の装甲猟兵大隊は先行して到着していましたが、師団本体は既に陥落していたディナブルクへ輸送され、スターリン線に沿って進軍し、レニングラードへ迫りました。レニングラード近郊のルガにおいて、部隊は再編成されたソビエト軍の激しい抵抗に遭遇しました。

ルガ周辺のソビエト軍は、湿地、森林、湖沼などの地形と塹壕を組み合わせた強固な防衛線を構築していました。ルガ攻略は1941年 8月7日に計画され、作戦名「ベルリン」の下、第56軍団がルガ近辺の敵を包囲する予定でした。天候の影響で、攻撃は8月9日の深夜から8月10日の早朝にかけて実施されました。第269歩兵師団を左翼、第3自動車化歩兵師団を右翼に配置し、ルガ南方のクット、スメルディ、ストヤノフッシナ近傍のソビエト軍に対して攻撃を加えました。ストヤノフッシナは8月12日に陥落しましたが、敵の抵抗は激しく、大きな損害を受けました。8月16日、マンシュタインはソビエト第34軍の側面を突くため、SSトーテンコップ師団と第3自動車化歩兵師団を抽出しました。これにより、ルガ近辺の右翼を担当していた部隊がいなくなり、計画の再構成が必要となりました。そこで、南方からの攻撃を断念し、東方からの攻撃を計画しました。スタートプラッツ作戦（Unternehmen "Startplatz"）において、師団の第2連隊と第3連隊が東方からの攻撃を実施し、成功を収め、8月24日にはルガを陥落させました。この戦いで、師団は2000名以上の甚大な損害を被りました。

レニングラード包囲、再編成

ルガの戦いの後、師団はレニングラード周辺の戦闘に参加しました。

1942年2月10日、武装親衛隊に移管され、SS警察師団と名称が変更されました。ソビエト軍の冬季反攻により損害を受けた師団は、再編成の結果、1943年10月26日に装甲擲弾兵師団となり、第4SS警察装甲擲弾兵師団と改称されました。

1944年中は、E軍集団に配備され、第4SS警察擲弾兵師団として再編成された後、訓練を経てバルカン半島に送られました。師団の一部はギリシアやユーゴスラビアで対パルチザン任務に従事しましたが、ドイツ軍のユーゴスラビアからの撤退に伴い、1945年1月にスロバキアへ撤退しました。撤退後、部隊はポメラニアへ移動し、ソビエト軍の侵攻を阻止する任務に就きました。終戦時には、アメリカ軍に降伏しました。

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