第5回統一地方選挙

第5回統一地方選挙

第5回統一地方選挙は、1963年（昭和38年）の4月17日と4月30日の二つの日程に分けて投票が実施された、日本における地方自治体の首長および議会議員を選出するための全国一斉選挙です。

この選挙は、日本国憲法が施行され、地方自治制度が新たに発足した1947年（昭和22年）の第1回統一地方選挙以来、通算して5回目にあたります。全国の都道府県や市町村などで、首長と議会議員を合わせておよそ4万6千名余りが改選の対象となりました。

主要な争点

この時期の統一地方選挙は、単なる地方行政の担い手を選ぶだけでなく、多様な政治的・社会的な争点を内包していました。特に重要視されたのは、以下のような点です。

中央政治との関係性: 地方自治が国政とどのように連携し、あるいは独立性を保つかという基本的な問題。
地方自治体の財政問題: 地方の財政基盤の強化や、国庫支出金などを巡る財政的な課題。
地域間格差の是正: 経済成長の中で顕在化してきた地域間の発展格差をどう解消するか。特に、新産業都市の指定などを巡る問題は、中央政界とも密接に結びついており、各政党が強い関心を示しました。

これらの争点を背景に、特に都道府県知事選挙では、東京都や大阪府、北海道、福岡県といった主要な地域に加え、岩手県、大分県などでも、保守系候補と革新系候補が正面からぶつかり合う構図が見られました。

選挙の実施日程と対象

選挙は二段階に分けて行われました。

4月17日投票:
都道府県知事選挙: 20都道府県（うち4県では候補者が無投票で当選）。北海道、岩手県、東京都、大阪府、福岡県、大分県などがこの日に投票を実施。
都道府県議会議員選挙: 沖縄県を除く46都道府県で実施され、2,688名の議員が改選されました。
政令指定都市市長選挙: 横浜市、大阪市の2市で実施。
政令指定都市市議会議員選挙: 横浜市、名古屋市、京都市、大阪市、神戸市の5市で実施。

4月30日投票:
市長選挙: 168市（うち36市が無投票当選）。
市議会議員選挙: 356市。
東京都特別区議会議員選挙: 東京都の22区で実施。
町村長選挙: 1,106町村（うち460町村が無投票当選）。
町村議会議員選挙: 1,484町村。

選挙結果の一部

知事選挙においては、多くの地域で現職候補が再選を果たす傾向が見られました。しかし、新人候補同士の対決となった岩手県では、接戦の末に革新系の無所属候補が勝利しました。また、福岡県や大分県でも、革新系の現職知事が保守系候補を退けて再選を果たし、革新勢力の一定の勢いを示しました。

政令指定都市の市長選挙では、横浜市で日本社会党の新人が、大阪市では無所属の新人がそれぞれ当選しています。

主要な選挙の投票率は、都道府県知事選挙が74.62%、都道府県議会議員選挙が76.85%でした。また、4月30日に行われた市町村長選挙の投票率は81.57%、市区町村議会議員選挙（東京都特別区議会議員選挙を含む）は79.55%となりました。

第5回統一地方選挙は、高度経済成長期における地方の課題や、保守・革新勢力の対立構造が色濃く反映された選挙として、日本の地方自治史において重要な位置を占めます。なお、この年の秋には、第30回衆議院議員総選挙も実施されており、政治的に動きの多い一年でした。

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