第6軍 (ドイツ軍)

第6軍の歴史

第6軍（独：Deutsche 6. Armee）は、第一次および第二次世界大戦中のドイツ陸軍の重要な部隊です。その戦歴は特にスターリングラード攻防戦での壊滅的な結果により知られることとなりました。

第一次世界大戦における第6軍

第一次世界大戦の開戦時、バイエルン王太子ルプレヒトが第6軍の司令官に任命され、クラフト・フォン・デルメンジンゲンが参謀長を務めました。彼らは戦争初期に、西部戦線の中央部で防衛任務を担い、特にロレーヌ地方での防衛が重要な役割を果たしました。1914年8月のロレーヌの戦いでは、フランス軍への誘導を狙った偽装撤退を行い、相手の攻撃に耐えました。

戦局が膠着状態に陥る中、第6軍は北フランスへと移動し、1915年9月にはイギリス軍による初の塩素ガス攻撃を受けるも、持ちこたえました。また、1917年のヴィミーリッジの戦いでは、イギリス軍とカナダ軍の激しい攻撃に直面し、20,000人以上の犠牲者を出しながらも防衛ラインを維持しましたが、最終的には後退を余儀なくされました。これにより、指揮官のファルケンハウゼンは責任を問われ解任されました。

第二次世界大戦における第6軍

第二次世界大戦では、最初は第10軍として編成され、ポーランド侵攻時に西側国境を防衛しました。1939年10月に第6軍に改名され、低地諸国侵攻の際には降下猟兵部隊と連携し、ベルギーの戦いで重要な役割を果たしました。

1941年には、南方軍集団の先鋒としてソビエト連邦への侵攻に参加しましたが、司令官ライヒェナウが病で急死し、その後フリードリヒ・パウルスが指揮を引き継ぎました。1942年のスターリングラード方面では、熾烈な市街戦が展開されましたが、最終的にはソ連軍の攻勢により包囲され、補給も困難な状況に陥ります。特にウラヌス作戦によってルーマニア軍が壊滅し、第6軍は孤立しました。

第6軍は、空軍による補給作戦が試みられましたが成功せず、ヒトラーの命令でパウルスは名目上の元帥に昇進させられて自決を迫られましたが、逆にソ連軍に降伏する結果となりました。

戦後、第6軍は再編成を行い、新たにカール・アドルフ・ホリットを司令官として任命し、再び戦場での活動を開始しました。しかし、1944年にはヤッシー＝キシニョフ攻勢で再び包囲を受け、殲滅されてしまいます。

終焉と降伏

最後の戦いの一つであるデブレツェンの戦いでは、ドイツ軍側において重要な勝利を収めましたが、1945年春になると戦局はさらに悪化します。第6軍はウィーンへの退却を余儀なくされ、最終的には1945年5月9日にアメリカ軍に対し降伏しました。このように、第6軍は激動の歴史の中で数多くの戦いを経験し、その運命を閉じました。

文献

• - 山崎雅弘『ドイツ軍名将列伝鉄十字の将官300人の肖像』（学研M文庫、2009年） ISBN 4-05-90123-51

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