第7回統一地方選挙

1971年、日本の地方政治において重要な節目となる選挙が実施されました。これは第7回統一地方選挙として知られ、全国各地の都道府県、市町村の首長（知事、市長、町村長）及び議会議員を一斉に改選することを目的としていました。投票は同年4月11日と4月25日の二段階に分けて行われました。

選挙の背景と特徴

この選挙は、一般的に亥年選挙として認識されており、特にその年6月に予定されていた第9回参議院議員通常選挙の前哨戦としての性格を強く帯びていました。そのため、各政党は国政選挙に匹敵するほどの力の入れようで臨みました。また、この選挙では、第二次世界大戦後に生まれた世代が地方議会議員や市町村長に立候補可能な年齢（満25歳）に達した最初の機会となり、新しい世代の政治参加が進む可能性を秘めていました。

実施された選挙

投票は二回に分けて実施されました。

1971年 4月11日投票

この日には、主に都道府県レベルおよび政令指定都市レベルの主要な選挙が行われました。

知事選挙: 18の都道府県で実施されました。
道府県議会議員選挙: 東京都、茨城県、沖縄県を除く44道府県で行われ、定数は合計2,557名でした。
政令指定都市の市長選挙: 横浜市と大阪市の2市で執行されました。
政令指定都市の市議会議員選挙: 横浜市、名古屋市、京都市、大阪市、神戸市の5市で実施されました。
東京都特別区の区議会議員選挙: 東京都内の全23区で執行されました。

1971年 4月25日投票

第二回目の投票では、より多くの市町村レベルの選挙が執行されました。

市長選挙: 161市で実施され、うち21市では無投票で当選者が決定しました。
市議会議員選挙: 369市で行われ、定数は合計1万1,999名でした。
町村長選挙: 890町村で実施されました。
町村議会議員選挙: 1,352町村で行われ、定数は合計2万4,920名でした。

選挙結果の概要

全体として、地方選挙としては高い投票率となりました。4月11日に行われた都道府県知事選挙の投票率は72.01%、道府県議会議員選挙は72.94%でした。4月25日の市町村長選挙は76.41%、市区町村議会議員選挙は77.65%を記録しました。

党派別の当選者数を見ると、道府県議会議員選挙では自由民主党が1,417議席を獲得し最多でしたが、日本社会党471、日本共産党105、民社党96、公明党94など、他の主要政党も一定の勢力を維持しました。無所属候補者も347議席を獲得しています（これらには無投票当選者215名が含まれています）。

政令指定都市の市長選挙では、横浜市で日本社会党現職の飛鳥田一雄氏が当選し、大阪市では無所属現職の中馬馨氏（主要政党の推薦・支持を得ていました）が当選しました。政令指定都市の市議会議員選挙では、自民党が129議席を占めつつも、社会党87、公明党60、共産党52、民社党50と各党が議席を分け合いました。

4月25日投票の市町村議会議員選挙では、無所属候補者が全体の過半数を大きく超える7,260議席（市議会）および23,083議席（町村議会）を獲得し、地方政治における無党派層や地域基盤の強さを改めて示す結果となりました。各政党も市議会で自民党1,575、社会党1,243、公明党869、共産党705など、多くの議席を得ました。

この選挙では、大阪府河内長野市の選挙区で、法定得票数に達する候補者がなく、後日再選挙が実施されるという異例の事態も発生しています。

選挙の意義

第7回統一地方選挙は、同年夏の参議院選挙に向けた各党の組織力や戦略、そして国民の政治意識を図る上で重要な指標となりました。都市部における革新系の勢いや、地方における無所属候補者の強さなど、当時の日本の地方政治が抱える多様な様相が映し出された選挙と言えます。

出典

朝日新聞社編『朝日年鑑 1972年版』（朝日新聞社）

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