第8師団 (陸上自衛隊)

陸上自衛隊第8師団：九州の盾、南西諸島の守護者

陸上自衛隊第8師団は、九州南部（熊本県、宮崎県、鹿児島県）の防衛と、災害派遣、国際貢献活動を行う西部方面隊隷下の師団です。司令部は熊本県熊本市北区の北熊本駐屯地に置かれ、地元出身の隊員が80％以上を占めるなど、地域に密着した活動を展開しています。

任務と役割：

第8師団の主要な任務は、担当地域の防衛警備です。近年、台湾情勢や南西諸島周辺の安全保障環境の変化を踏まえ、その重要性はますます高まっています。担当区域には約960もの島嶼が含まれ、離島防衛の専門性も求められます。そのため、アメリカ海兵隊との共同訓練などを通して、島嶼防衛能力の向上に力を入れています。

災害派遣においても、第8師団は重要な役割を果たしています。2016年の熊本地震では、被災地への迅速な支援活動を実施し、その貢献は高く評価されました。また、2010年の口蹄疫発生時には、宮崎県で発生した大規模な口蹄疫への対応にあたり、防疫活動に従事しました。

さらに、国際貢献活動にも積極的に参加しています。例えば、東ティモールへの平和維持活動（PKO）にも派遣部隊を送り込みました。

部隊の近代化と改編：

冷戦終結後、南西諸島防衛の重要性が増す中、第8師団は時代の要請に応えるべく、数々の改編と近代化を遂げてきました。2018年には、全国に先駆けて「機動師団」へ改編され、事態発生時には警備区域を越えて迅速に展開できる体制を構築しました。これは、即応機動連隊を1個、普通科連隊を2個基幹とする編成への変更を伴いました。

また、2019年には奄美大島に奄美警備隊が新編され、奄美群島の防衛体制が強化されました。これにより、南西諸島防衛における第8師団の役割は一層重要になっています。

歴史：

第8師団の歴史は、1955年に創設された第8混成団に遡ります。その後、1962年に第8師団として再編され、現在に至ります。創設以来、幾度かの改編を経て、常に最新の装備と戦術を取り入れ、その任務遂行能力を高めてきました。特に、1990年代の近代化改編、2005年の即応近代化師団への改編、そして2018年の機動師団への改編は、第8師団の変遷において重要な転換点となっています。

現在の編成：

現在の第8師団は、1個の即応機動連隊と2個の普通科連隊を基幹として、6個の駐屯地と2個の分屯地に部隊が配置されています。また、西部方面隊直轄の西部方面戦車隊と西部方面対舟艇対戦車隊も平時は第8師団に隷属し、部隊全体の戦力を強化しています。

未来：

第8師団は、これからも九州南部と南西諸島の安全と安定を守るため、訓練と装備の近代化、そして隊員の育成に力を注ぎ、その任務を全うしていきます。変化する安全保障環境に柔軟に対応し、国民の安心・安全を守り続ける存在として、その役割を果たし続けることが期待されています。

主要駐屯地：

北熊本駐屯地（熊本県熊本市）
えびの駐屯地（宮崎県えびの市）
玖珠駐屯地（大分県玖珠町）※西部方面戦車隊、西部方面対舟艇対戦車隊の駐屯地。災害派遣時は第4師団の指揮下。
都城駐屯地（宮崎県都城市）
川内駐屯地（鹿児島県薩摩川内市）
奄美駐屯地（鹿児島県奄美市）
* 瀬戸内分屯地（鹿児島県奄美市）

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