混成団

陸上自衛隊の混成団について

陸上自衛隊には、かつて「番号付き混成団」と「方面混成団」の2種類の混成団が存在しました。これらの部隊は、それぞれ異なる役割と歴史を持っています。

番号付き混成団

番号付き混成団は、師団や旅団に準じた部隊として、特定の地域の防衛警備を担い、陸上戦における主要な作戦正面を担当していました。この混成団は、複数の職種部隊から構成され、アメリカ軍の連隊戦闘団を参考に編成されました。

1次防衛力整備計画時代

番号付き混成団は、陸上自衛隊の草創期である第一次防衛力整備計画時代に採用されました。警察予備隊時代には方面管区制が基本でしたが、陸上自衛隊の発足に伴い、10個の作戦単位を整備する必要が生じました。しかし、予算や政治的な問題から、10個の管区隊を整備することが困難であったため、ミニ管区隊の役割を果たす部隊として、番号付き混成団が編成されました。1955年から1958年にかけて、第7から第10までの4個混成団が編成されました。

これらの混成団は、1個普通科連隊を基幹とするミニ管区隊（現在の師団に相当）であり、定員は約6,100名でした。ただし、当時の普通科連隊は、現在の2倍以上の人員が割り当てられており、規模は大きく異なりました。

2次防衛力整備計画以降

第二次防衛力整備計画に基づき、1962年に管区隊・混成団が廃止され、師団制が採用されました。これにより、前述の混成団はすべて師団に改編されました。しかし、沖縄の施政権返還後、1973年に第1混成団が、1981年には第2混成団が編成されました。これらの混成団は、それぞれ異なる特徴を持っていました。

第1混成団は、普通科部隊が2個中隊程度にもかかわらず、高射特科群、不発弾処理隊、大型ヘリコプターを保有する飛行隊などを有しており、一般的な師団とは大きく異なりました。一方、第2混成団は、1個普通科連隊を基幹とするミニ師団でした。

冷戦後の軍縮の流れの中で、1995年に旅団編制が導入されることになり、既存の混成団は全て旅団に改編されました。2006年に第2混成団が第14旅団に、2010年には第1混成団が第15旅団に改編され、番号付き混成団は姿を消しました。

番号付き混成団の一覧

第1混成団（那覇駐屯地）：1973年新編、2010年廃止
第2混成団（善通寺駐屯地）：1981年新編、2006年廃止

方面混成団

方面混成団は、新隊員や陸曹の教育を担任する部隊として、2006年から2013年にかけて編成されました。これらの混成団は、方面隊の師団・旅団隷下で運用されていたコア部隊を統合し、新たに方面直轄の団として編成されました。

概要

方面混成団は、即応予備自衛官のタイムラグを解消し、多様化する任務への即応性を強化するために創設されました。平時には、教育部隊が教育訓練を行い、有事には、師団・旅団の常備自衛官のみで部隊を構成することで、より迅速な対応が可能になりました。

2006年3月の東北方面混成団を皮切りに、各方面隊で順次編成が進められ、2013年3月までに5個方面混成団体制が整備されました。方面混成団長は1等陸佐（一）、副団長は1等陸佐（二）が充てられます。

また、2011年に自衛隊法施行令が改正され、師団・旅団に隷属する普通科連隊数が最大「三」と規定されたことから、普通科連隊を「四」保有する師団・旅団は、方面混成団隷下へ移行しました。

方面混成団の一覧

北部方面混成団（東千歳駐屯地）
東北方面混成団（仙台駐屯地）
東部方面混成団（武山駐屯地）
中部方面混成団（大津駐屯地）
西部方面混成団（久留米駐屯地）

方面混成団の配置・編成

各方面混成団は、それぞれ異なる編成を有しています。以下に、各混成団の主な編成を示します。

北部方面混成団：第52普通科連隊、第1陸曹教育隊、第120教育大隊、陸上自衛隊冬季戦技教育隊
東北方面混成団：第38普通科連隊、第2陸曹教育隊、第119教育大隊
東部方面混成団：第31普通科連隊、第48普通科連隊、第3陸曹教育隊、女性自衛官教育隊、第117教育大隊
中部方面混成団：第47普通科連隊、第49普通科連隊、第4陸曹教育隊、第109教育大隊、第110教育大隊
西部方面混成団：第19普通科連隊、第24普通科連隊、第5陸曹教育隊、第113教育大隊、第118教育大隊

これらの方面混成団は、陸上自衛隊の教育体制の中核を担い、有事の際には各師団・旅団を支援する重要な役割を果たしています。

まとめ

混成団は、陸上自衛隊の歴史の中で、その役割や編成を変化させてきました。番号付き混成団は、師団制導入に伴い姿を消しましたが、方面混成団は、現代の自衛隊において、教育と即応体制の強化に不可欠な存在となっています。

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