第81師団 (日本軍)

第81師団について

第81師団は、1944年（昭和19年）4月4日に、留守第51師団を基幹として宇都宮で編成された大日本帝国陸軍の師団です。太平洋戦争末期、戦局の悪化に伴い、本土決戦に備えるために新設された部隊の一つであり、機動打撃師団としての役割を担っていました。しかし、実際に戦闘に参加することなく、終戦を迎えています。

編成と役割

第81師団は、同年7月21日に新設された第36軍の戦闘序列に編入されました。機動打撃師団として、敵の侵攻に対して迅速に対応し、局地的な反撃を行うことを目的としていました。しかし、戦局が急速に悪化したため、本土決戦が現実味を帯びるにつれて、その役割は変化していきます。具体的な作戦計画は不明確な部分が多く、実際に戦火を交えることなく終戦を迎えたため、その全貌は明らかになっていません。

自活と農部隊

第81師団は、戦闘準備と並行して、自活のための営農活動も行っていました。部隊の秘匿号が「納（のう）」であったことから、「農部隊」とも呼ばれていたようです。食糧不足が深刻化していた当時、部隊の自給自足は重要な課題であり、第81師団も例外ではありませんでした。この営農活動が、部隊の存続にどのように貢献したかは定かではありません。

歴代師団長と参謀長

師団長は、古閑健中将が1944年4月6日から終戦まで務めています。参謀長は、寺尾務大佐、斎藤二郎大佐、池田慶蔵中佐と交代しました。

師団長
古閑健 中将：1944年4月6日 - 終戦
参謀長
寺尾務 大佐：1944年7月8日 - 1944年11月22日
斎藤二郎 大佐：1944年11月22日 - 1945年7月13日
池田慶蔵 中佐：1945年7月13日 - 終戦

最終所属部隊

第81師団は、以下の部隊で構成されていました。

歩兵第171連隊（宇都宮）：今村重孝大佐
歩兵第172連隊（水戸）：桑利彦中佐
歩兵第173連隊（高崎）：江口小一郎大佐
野砲兵第81連隊：前田知玄大佐
工兵第81連隊：吉田利行大佐
輜重兵第81連隊：宮崎三郎大佐
第81師団速射砲隊
第81師団通信隊
第81師団兵器勤務隊
第81師団衛生隊
第81師団第1野戦病院
第81師団第4野戦病院
第81師団制毒隊
第81師団病馬廠


これらの部隊は、それぞれが独立した役割を持ち、師団全体の戦闘力を構成していました。しかし、実戦を経験することなく終戦を迎えたため、その能力を発揮する機会はありませんでした。

まとめ

第81師団は、本土決戦に備えて編成された師団であり、その役割は機動打撃師団としての活動が期待されていました。しかし、実際の戦闘には参加することなく終戦を迎えています。自活のための営農活動を行っていたことから「農部隊」とも呼ばれており、戦時中の様々な側面を映し出す部隊の一つと言えるでしょう。

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