第9学会

第9学会：中国核兵器開発の秘匿都市

第9学会は、中国が核兵器開発のために1960年代初頭に設立した最高機密の研究都市です。正式名称は「中華人民共和国第九局北西核兵器研究設計学会」といい、通称「211工場」とも呼ばれていました。この都市は、中国北西部の海北チベット族自治州に位置し、中国の核兵器開発において極めて重要な役割を果たしました。

核兵器開発の拠点

第9学会は、中国における核兵器の開発および製造の中心地でした。1964年10月16日には、ここで開発された中国初の原子爆弾の実験が成功。さらに、1967年6月17日には、水素爆弾の実験も成功させました。これらの核兵器は、中国とインドの国境に近いチベット自治区などに配備されたと言われています。

厳重な機密体制

第9学会は、中国国内でも最高レベルの機密都市とされ、その存在は長らく秘匿されてきました。都市の場所は、西寧から西へ約100kmの地点で、ココノール湖の東約16kmの分水嶺に位置しています。設立は、当時の中国共産党中央委員会総書記であった鄧小平の承認を得て行われました。標高約3030メートルの高地に位置し、その排水はツァン・チュ川を経て黄河に合流する場所にあります。70年代後半には化学工業研究所が設立され、高濃度ウラン燃料の再処理実験も行われていました。

放射性廃棄物問題

第9学会は、設立当初から核兵器開発のため、多くの放射性廃棄物を排出してきました。しかし、これらの廃棄物の処理は適切に行われておらず、記録状況も非常にずさんでした。初期段階では、放射性廃棄物は浅く掘られただけの覆いのないごみ処理場に投棄されていました。専門家は、ココノール湖にも放射性廃棄物が投棄された可能性を指摘しています。実際に、1974年には湖に核汚染をもたらす事故が発生したという報告もあります。湿地帯に位置していたため、汚染水や放射性粒子が地下水を通じて湖に流れ込みやすい状況でした。

閉鎖とその後

中国国営新華社通信は、1995年に第9学会が1987年に閉鎖され、拠点がチベット東部の四川省に移転したと報道しました。しかし、1996年には、第9学会の近隣住民が、中国の警察官が24時間体制で監視を続けていると報告しており、中国政府の発表に疑問が残る状況です。

結論

第9学会は、中国の核兵器開発において重要な役割を果たした施設でしたが、同時に放射性廃棄物問題など多くの課題を抱えていました。その実態はいまだ不明な点が多く、今後も調査が必要とされています。


関連情報

596 - 中国の最初の原爆実験)
中華人民共和国の大量破壊兵器
閉鎖都市

外部リンク

チベット亡命政府情報・国際関係省環境開発部(EDD)「チベットの核(第9学会)」「グリーンチベット」1998年ニュースレター。

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