第96師団 (日本軍)

第96師団

第96師団は、1945年2月10日に編成された大日本帝国陸軍の師団です。太平洋戦争の末期、済州島の防衛強化を目的として創設されました。当初は混成旅団として編成される予定でしたが、急遽師団へと変更されたため、兵力や装備が不足していました。

編成と装備

師団の兵力は師団長以下約8,600人と、通常の師団に比べて少なかったのが特徴です。野砲や対戦車兵器を持たず、代わりに迫撃砲と高射機関銃を装備していました。また、機動力も乏しく、輸送用のトラックもほとんどありませんでした。

師団の迫撃砲隊は3個中隊で構成され、各中隊は歩兵連隊に分属していました。後に独立速射砲第32大隊が配属されたことで、対戦車砲を装備することができました。

済州島での配置

師団は1945年3月下旬から4月にかけて済州島へ展開し、島北部の済州に到着しました。上陸後、同地区の警備隊を指揮下に入れ、島北部山麓地帯に主力を配置しました。済州飛行場の警備や南西部の海軍の模瑟浦飛行場の警備、漢拏山東方の天然洞窟地帯への遊撃戦部隊の配置も行われました。

1945年4月には、第58軍の戦闘序列に編入され、北部防衛兵団として対空戦闘や陣地構築に従事しました。連合国軍の上陸に備えて防御陣地の構築を進めましたが、戦闘を交えることなく終戦を迎えています。

終戦と復員

終戦後、第96師団は米軍によって武装解除され、同年11月上旬に大部分が福岡市博多へ復員しました。

歴代師団長

飯沼守 予備役中将：1945年2月20日 - 1945年5月23日
玉田美郎 中将：1945年5月23日 - 終戦

参謀長

清水孝太郎 大佐：1945年2月20日 - 終戦

最終司令部構成

参謀長：清水孝太郎大佐
参謀：八坂繁広中佐
参謀：小岩井光夫少佐
兵器部長：吉川慶治中佐
経理部長：川村雄次郎主計中佐
軍医部長：桜田正雄軍医中佐

最終所属部隊

歩兵第292連隊：菅道教大佐
歩兵第293連隊：越智鶴吉大佐
歩兵第294連隊：菊池安一大佐
第96師団迫撃砲隊：進士正吉少佐
第96師団工兵隊：江崎秀作少佐
第96師団通信隊：桂一正大尉
第96師団野戦病院：斎藤孝平軍医大尉

参考文献

防衛研修所戦史室『関東軍（2） - 関特演・終戦時の対ソ戦』朝雲新聞社〈戦史叢書〉, 1974年。
宮田節子編・解説『十五年戦争極秘資料集15 朝鮮軍概要史 』不二出版, 1987年。
外山操・森松俊夫編著『帝国陸軍編制総覧』芙蓉書房出版, 1987年。
秦郁彦編『日本陸海軍総合事典』第2版, 東京大学出版会, 2005年。
福川秀樹『日本陸軍将官辞典』芙蓉書房出版, 2001年。
外山操編『陸海軍将官人事総覧 陸軍篇』芙蓉書房出版, 1981年。

関連項目

* 大日本帝国陸軍師団一覧

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