笹山洋一

笹山 洋一（ささやま よういち）氏は、1975年5月7日に宮崎県で生まれた、かつてプロ野球選手として活躍した右投げの投手です。力強い速球を軸に、カーブやスライダーを効果的に操る本格派として知られていました。

野球との出会いは小学校3年生の時でした。中学に進むと、宮崎県勢として初の快挙となる全国中学校軟式野球大会優勝メンバーとして歴史に名を刻みます。その優勝メンバーが多く進んだ小林西高校では、最上級生となった年に投打の要、すなわちエースで4番という重責を担いました。宮崎県予選では、マウンド上で全6試合を一人で投げ抜き、さらに打者としても打率.500という驚異的な成績を残し、チームを牽引しました。この活躍により、1993年夏、同校は甲子園の全国高等学校野球選手権大会に初めて駒を進めることとなります。

甲子園での戦いでも、笹山氏はその実力を遺憾なく発揮しました。1回戦の日大山形高校戦では、劇的な逆転サヨナラとなる二塁打を放ち、チームを勝利に導きました。続く2回戦の長崎日大高校戦では、後にプロで活躍する中村隼人投手との投げ合いを制し、1失点完投勝利を収めました。準々決勝では、金子誠選手（後に日本ハムなどで活躍）を擁する常総学院高校と対戦。延長10回まで一人で投げ抜きましたが、力尽きて3対6で惜しくも敗れました。しかし、この甲子園での活躍により、その高い潜在能力が多くのプロ球団から注目されることになります。

甲子園大会後には、高校選抜チームの一員としてヨーロッパ遠征に参加するなど、国際的な経験も積みました。そして、1993年のプロ野球ドラフト会議で、中日ドラゴンズから3位指名を受け、プロの世界への扉を開きました。ドラフト指名時には打者としての適性も囁かれましたが、本人の強い希望により投手として入団。契約金は5,500万円、年俸は540万円（いずれも推定）という条件でした。

プロ入り後の背番号は「59」に決定し、新しいスタートを切りました。プロ2年目の1995年には、一軍のマウンドを経験。6月7日に対広島東洋カープ戦（広島市民球場）で、7回裏に4番手投手として救援登板し、2イニングを無失点に抑える好投を見せるなど、合計3試合に登板して自責点0という成績を残しました。しかし、翌1996年に右肘靭帯を故障するという不運に見舞われ、そのシーズンは一度も一軍に昇格することができませんでした。度重なる怪我の影響もあり、同年限りで球団から戦力外通告を受け、若くしてプロ野球選手としてのキャリアを終えることとなりました。

笹山氏のプロ野球人生は短いものでしたが、中学時代の全国制覇、高校での甲子園での輝かしい投打にわたる活躍は、今もなお多くのファンの記憶に残っています。怪我に泣かされながらも、プロの世界に足跡を残した元本格派右腕の野球人生でした。

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