筋断裂

筋断裂（rupture of the muscle, myorrhexis）

筋断裂とは、筋肉が完全に断裂した状態を指します。一方、筋線維の一部や筋肉の膜が断裂した状態は筋損傷や筋膜断裂と呼ばれ、一般的に肉離れとして認識されることが多いですが、筋断裂とは区別されます。

概要

筋断裂は、以下の様な要因が複合的に重なって発生することがあります。

加齢による筋肉の脆弱化
筋肉疲労の蓄積
職業的な要因（特定の筋肉への過度な負担）
全身または局所の病的状態

多くの場合、強く収縮している筋肉に外部からの力が加わり、筋肉が強制的に伸ばされることで発生します。

好発部位

以下の筋肉に多く発生することが知られています。

1. 腓腹筋
2. 下腿伸筋
3. 上腕二頭筋
4. 母指伸筋

その他、棘上筋、上腕三頭筋、腹直筋、大腿内転筋、指伸筋などにも発生する可能性があります。

症状

筋断裂が発生すると、以下のような症状が現れます。

激しい痛み: 断裂時に「ブチッ」という音とともに、激しい痛みが突然現れます。
脱力感: 筋肉が正常に機能しなくなるため、力が入りにくくなります。
陥没: 断裂した部分がへこんで見えることがあります。
腫脹: 断裂部位とその周辺が腫れます。
皮下出血: 内出血により、皮膚の下に血液がにじみ出ることがあります。
筋力低下: 筋肉の機能が著しく低下します。

治療

筋断裂の治療法は、断裂の程度によって異なります。

部分断裂（筋損傷）の場合: 副子固定を行い、筋肉を安静に保ちます。
完全断裂（筋断裂）の場合: 主に手術によって断裂した筋肉を修復します。

スポーツ選手の場合、十分なストレッチを事前に行うことが予防策として非常に重要です。

診断

受傷時の状況、症状、および診察所見を総合的に考慮して診断を行います。

関連項目

人間の筋肉の一覧
筋肉痛

参考文献

『南山堂 医学大辞典』 南山堂 2006年3月10日発行 ISBN 978-4-525-01029-4

外部リンク

筋断裂 - コトバンク

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