筑前簑島駅

筑前簑島駅について

筑前簑島駅（ちくぜんみのしまえき）は、福岡県福岡市博多区美野島に存在した日本国有鉄道筑肥線の廃駅です。この駅は、福岡市地下鉄1号線の直通運転が開始されたことに伴い、博多駅と姪浜駅間の廃止により、姿を消しました。

歴史の流れ

筑前簑島駅は、1929年7月20日に日本足袋簑島工場の要望によって北九州鉄道の福岡簑島駅として設立されました。その後、1937年10月に国有化され、筑前簑島駅に改称されました。1963年12月1日には博多駅が移転し、当駅と博多駅の間が約600メートル短縮されましたが、1983年3月22日には筑肥線の博多から姪浜間が廃止され、駅は閉鎖されました。

駅の構造と設備

この駅は単式ホームを持つ地上駅で、ホームの端には小型の駅舎が存在しました。通過駅でありながら周辺には工場が集まり、多くの通勤客が利用したため、筑前高宮駅から派遣された駅員が1名配置されていました。駅の利用者は、工場や事業所に通勤する人々が主体でしたが、収入は定期券が事業所ごとに一括購入される形式だったため、全体的にはあまり多くありませんでした。また、博多駅までは西鉄バスとの競合があり、運賃が上がるたびに一方に乗客が流れる現象が見られました。

駅周辺の環境

筑前簑島駅の西側には那珂川が流れており、駅近くには那珂川橋梁も架かっていました。さらに、駅のすぐ東側では国道385号と交差し、立体交差が形成されていました。

周辺の主な施設

• - 九州松下電器本社工場（現在のパナソニック コネクト福岡事業所）
• - 福岡製紙福岡工場（現存せず）
• - 松居織物工場
• - 博多商業高等学校（現在の沖学園中学校・高等学校）
• - 福岡市立美野島小学校（2012年に住吉小学校と統合）

現在の状況

廃駅となった現在、筑前簑島駅の跡地は舗装された空き地として残っています。また、駅の東側に位置する旧線路は遊歩道に転用されており、その脇には駅を模したホームと駅名板が設置されています。このホームは一部を残した説と、廃駅後に再設置されたとする説の双方が存在します。さらに、国道のオーバーパスは今も使用されており、歩行者は国道沿いの生活道路を通って移動できます。橋桁には、過去に使用されたディーゼル機関車の煤煙が残る跡が見られます。

隣接する駅

筑肥線上では、筑前簑島駅の隣は博多駅であり、博多駅の移転によって駅間の距離が約1.4キロメートルに縮まりました。このため、下り列車は百年橋まで加速し、カーブを通過する際は惰性で駅まで減速していました。

このように、筑前簑島駅は多くの通勤客に利用されていたものの、時代の流れとともにその役割を終え、今はその跡地が静かな時を刻んでいます。

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