筑波大学附属久里浜特別支援学校

筑波大学附属久里浜特別支援学校は、国立大学法人筑波大学が設置する附属学校であり、神奈川県横須賀市野比に所在する特別支援学校です。特筆すべきは、国内で唯一、国立として知的障害を伴う自閉症児を専門的な教育対象としている点です。幼稚部および小学部を設置しており、寄宿舎も完備しているため、神奈川県内に限らず、千葉県、東京都、埼玉県など広範な地域から児童が通学しています。特定の学区による入学制限は設けられていません。校舎は浦賀水道に面した風光明媚な場所に位置しています。

沿革

本校の歴史は、1973年9月に重度・重複障害児を対象とする国立久里浜養護学校として開校したことに始まります。その後、2004年4月に筑波大学に編入された際に、対象を知的障害を伴う自閉症児に特化し、筑波大学附属久里浜養護学校と改称されました。現在の名称である筑波大学附属久里浜特別支援学校となったのは、学校種別名の変更に伴う2007年4月からです。

教育内容

本校では、自閉症児一人ひとりの発達段階や特性に合わせた教育を実践しています。

幼稚部

幼稚部では、3歳から5歳までの年齢別クラスを基本とし、子どもたちが安心して活動し、主体性を育めるような日課を工夫しています。年間を通して、季節の移り変わりを感じる行事や、自然、文化に触れる体験活動も重視されています。

小学部

小学部の教育課程は、日常生活、社会生活、余暇活動の指導に加え、知的障害教育における各教科、そして自立活動といった要素から構成されています。特に重要な特色として、児童個々の実態や課題に応じて国語、算数、自立活動の内容を個別に指導する「個別の課題学習」と、低学年・高学年に分かれた縦割りグループで自立活動を中心に学ぶ小集団指導「のびのびタイム」があります。これらの取り組みにより、子どもたちの個別ニーズに応じたきめ細やかな指導が行われています。

研究と社会貢献

本校は、単なる教育機関に留まらず、自閉症教育に関する研究開発拠点としての役割も担っています。2004年度からの7年間は、文部科学省の研究開発学校として、特に幼児期から児童期にかけての一貫した自閉症児のための教育カリキュラム開発に重点的に取り組みました。その成果は、毎年開催される自閉症教育実践研究協議会を通じて全国に発信され、自閉症教育の質の向上に貢献しています。2011年度以降も「自立活動」を主要な研究テーマとして、効果的な指導法や教材の開発を進めており、その成果の一部は「明日から使える自閉症教育のポイント」という書籍にまとめられています。また、国際的な連携も積極的に行っており、2012年度にはアメリカのTEACCHセンターから自閉症幼児向け指導プログラム「Ready, set, go」の本校向けアレンジ版を取り入れ、教員の指導力向上に役立てました。さらに、国立特別支援教育総合研究所との共催による「世界自閉症啓発デーIN横須賀」の開催などを通じて、地域社会における自閉症児・者への理解促進にも努めています。

関連情報

筑波大学の附属特別支援学校としては、他に視覚障害、聴覚障害、知的障害（大塚）、肢体不自由（桐が丘）を対象とする学校があります。

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