御陵衛士

御陵衛士について

御陵衛士（ごりょうえじ）は、明治維新の激動の中で結成された組織であり、主に孝明天皇の陵（後月輪東山陵）を守る役割を担っていました。この組織の背景には、新選組の脱藩者たちの志が大きく影響しています。御陵衛士は「高台寺党」とも呼ばれ、高台寺塔頭の月真院を拠点としたことから、この名前でも広まっています。

組織の設立経過

御陵衛士の設立は、慶応3年（1867年）3月10日に遡ります。この日、伊東甲子太郎が新選組を脱退し、同じ志を持つ隊士たちを集めて新たな組織を結成しました。脱退の理由は、京都での政治的な動きや社会状況に対する信念の違いとされ、彼は孝明天皇の御陵を守る任務を受けていたこと、さらに薩摩藩や長州藩の動向を探る目的がありました。

最初の屯所は五条橋東詰にある長円寺に設けられました。その後、彼らは一和同心（国民が心をひとつに）、国内皆兵、そして大開国大強国を標榜し、公儀を基盤にした朝廷中心の政体を目指して独自の政治活動を展開していきます。

主なメンバー

当時の同士には、弟の三木三郎をはじめ、篠原泰之進、藤堂平助、服部武雄、毛内有之助、富山弥兵衛、阿部十郎、内海次郎、加納鷲雄、中西昇、橋本皆助、清原清、新井忠雄、斎藤一など、合計15名が名を連ねました。また、後に茨木司、佐野七五三之助、富川十郎、中村五郎などのメンバーも加わろうとしましたが、会津藩邸での嘆願中に不幸な結果を迎え、御陵衛士は彼らの受け入れを拒否することとなったのです。

移転と活動の展開

6月には、山陵奉行である戸田忠至に属し、長円寺から高台寺塔頭の月真院に拠点を移し、「禁裏御陵衛士」としての標札を掲げました。一方で、これにより彼らが薩摩藩に近づいたという解釈もあり、その関係については諸説ありました。

御陵衛士は新選組と異なる立場を取っていたため、互いに疑心暗鬼になり、新選組の襲来を警戒して常に武器を手元に置いて寝るという緊張した日々を送っていました。しかし、最近の研究では、彼らの倒幕思想が必ずしも過激でなかったことや、薩摩藩とはある程度の距離感を保っていたという見解も出てきています。

油小路事件と解散

運命が変わったのは11月18日（12月13日）に起きた油小路事件でした。この事件で伊東、藤堂、服部、毛内が命を落とし、残った者たちは薩摩藩邸へと逃げ込みます。この結果、御陵衛士は解散に追い込まれ、生き残った者たちはその後赤報隊に参加することとなります。

結論

御陵衛士は、愛国心を持った人々によって構成され、独自の道を歩んだ重要な組織でしたが、その運命は各隊士の行動や外部の圧力によって大きく影響されました。彼らの活動や姿勢は、歴史の中での立ち位置や、時代の変化を反映するものとして今でも語り継がれています。

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