篠山町

概要

兵庫県多紀郡にかつて存在した町、それが篠山町（ささやまちょう）です。江戸時代には篠山藩の城下町として発展し、賑わいを見せました。この地域は、民謡『デカンショ節』の発祥の地として全国的に知られており、多紀郡の中心的な役割を担っていました。町の象徴ともいえる篠山城が所在しています。

歴史

篠山町の歴史は、明治22年（1889年）4月1日に町村制が施行されたことに始まります。篠山東新町や黒岡村の一部など、城下町を構成する複数の区域が集まって、最初の篠山町が誕生しました。

その後、昭和9年（1934年）6月8日には町のシンボルとなる町章が制定されました。公募によって集まったデザイン案の中から選ばれたこの町章は、「ささやま」という文字を図案化したユニークな形をしています。

複数回の合併を経て町域を拡大していきました。昭和30年（1955年）4月20日には、八上村、畑村、城北村、岡野村と合併し、新たな篠山町として再出発しました。さらに昭和50年（1975年）3月28日には、城東町と多紀町を編入合併し、さらに広範な地域を含む町となりました。この合併により、町の区域は大きく広がりました。

平成11年（1999年）4月1日、今田町、西紀町、丹南町と合併し、新たに篠山市が発足したことにより、篠山町はその歴史に幕を閉じました。篠山市は、その後、令和元年（2019年）5月1日に丹波篠山市へと名称を変更しています。

地理

篠山町は、周囲を豊かな自然に囲まれた地域でした。町域には、多紀アルプスの一部をなす御嶽（標高793m）をはじめ、西ヶ嶽や小金ヶ嶽といった山々が連なります。町の中央部を篠山川が流れ、人々の生活を潤していました。

町が廃止される時点で隣接していた自治体は多岐にわたり、広範囲にわたる地域と接していました。

兵庫県：三田市、多紀郡丹南町、多紀郡西紀町、川辺郡猪名川町
京都府：船井郡瑞穂町、船井郡丹波町、船井郡園部町
* 大阪府：豊能郡能勢町

町域は西側の篠山地区、中側の城東地区、東側の多紀地区に分けられていました。

特徴と文化

城下町として栄えた篠山町には、古くから伝わる様々な伝承や文化があります。特に、町には多くの怪談が語り継がれており、篠山城下に伝わる「篠山の怪談七不思議」はよく知られています。これには「観音橋の夜泣榎」や「川ン丁の鼻黒」といった話が含まれます。

郷土史家の奥田楽々斎氏も、著書『多紀郷土史考』（昭和33年/1958年）の中で、明治時代末頃の篠山に伝わっていた怪談として七不思議を紹介しています。奥田氏は多紀文化顕彰会の会長なども務め、地域の歴史文化の保存に貢献しました。

行政面では、町政の運営にあたった歴代の町長が存在しました。明治・大正期から昭和、そして最後の町長となった瀬戸亀男氏（平成8年/1996年 - 平成11年/1999年3月）まで、多くの人物が町の発展に尽力しました。

また、国際交流も行っており、アメリカ合衆国ワシントン州のワラワラ市と姉妹都市提携を結んでいました。提携は昭和47年（1972年）8月15日に行われました。

交通については、かつては日本国有鉄道篠山線が町を通っていましたが、昭和47年（1972年）3月1日に廃止されました。現在も、国道173号や国道372号、兵庫県道12号川西篠山線などの主要な道路が地域を結んでいます。

主な施設・名所

篠山町の核となる存在は、江戸時代から続く篠山城です。その城下町一帯は、歴史的な町並みがよく保存されており、現在の丹波篠山市篠山伝統的建造物群保存地区として、合併後に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。また、かつて宿場町や農村集落であった福住地区も、同様に国の重要伝統的建造物群保存地区（丹波篠山市福住伝統的建造物群保存地区）に選定されており、古い街並みが大切に守られています。文化施設としては、たんば田園交響ホールも立地しています。

著名な出身者としては、心理学者の河合隼雄氏がいます。

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