篠路町福移

篠路町福移（しのろちょうふくい）

概要

篠路町福移は、札幌市北区に位置する大字であり、その範囲はかつての篠路村にまで遡ります。そのため、現在の札幌市東区や江別市の一部にもまたがっています。興味深い点として、「福移」という地名でありながら、住所区分上は東区中沼に属する施設も存在します。地名の由来は、開拓者たちが「福岡」から「移住」してきたことに由来します。

歴史

開拓の始まりと苦難

明治初期、福岡県の士族たちは困窮していました。1882年（明治15年）4月、福岡県庁の斡旋で、農商務省は士族の北海道移住に対して資金貸与を決定しました。福本誠をリーダーとする「開墾社」が組織され、51戸175名が博多港を出発し、小樽を経て当別太（現在の福移）に入植しました。

しかし、開墾社の幹部が貸与金を投機に使い込んでしまい、開拓は困難を極めました。食料の確保もままならず、同じく福岡から移住した「報国社」も困窮し、社会問題となりました。1883年（明治16年）、福岡県出身者たちが救済を求め、農商務省の指導で、各県が資金や農具の貸与を行うことで、ようやく開拓が軌道に乗り始めました。

石狩川の氾濫と治水対策

開拓が進む一方で、1898年（明治31年）と1904年（明治37年）には石狩川が氾濫し、多くの離農者を出す事態となりました。1910年（明治43年）から北海道庁が治水対策に乗り出しましたが、川の蛇行部分を直線化したことで、新たな水没農地も発生しました。この地域での生活は、自然の脅威との闘いでもありました。

変遷

1937年（昭和12年）、篠路村上福移、中福移、下福移が篠路村字福移となりました。1955年（昭和30年）には篠路村が札幌市と合併し、札幌市篠路町福移となりました。同年、豊平川の付け替えに伴い、一部が江別市字福移となりましたが、江別側は1957年（昭和32年）に字角山に吸収されました。1972年（昭和47年）には一部が札幌市東区中沼町となり、篠路町中沼の一部を編入し、現在の形に至ります。この変遷は、福移の地域が時代とともに変化してきたことを示しています。

主要施設

あいの里・福移の森緑地: 自然豊かな緑地で、市民の憩いの場となっています。
篠路福移湿原: 貴重な湿原生態系が保全されており、自然観察に訪れる人もいます。
札幌パークゴルフ倶楽部 福移の杜: パークゴルフを楽しめる施設です。
篠路破砕工場・ごみ資源化工場: 地域のごみ処理を担う施設です。
札幌市立義務教育学校福移学園（東区中沼）: 東区に所在していますが、「福移」の名を持つ学校です。
福移神社（東区中沼）: こちらも東区に所在していますが、地域名に由来する神社です。

まとめ

篠路町福移は、福岡県からの移住者によって開拓された歴史を持ち、石狩川の氾濫などの自然の脅威にもさらされながら発展してきた地域です。その歴史は、現在の札幌市北区だけでなく、東区や江別市の一部にも影響を与えており、複雑な歴史と変遷をたどってきました。

参考文献

片岡秀郎『札幌歴史散歩』ヒルハーフ総合研究所、2012年7月14日。ISBN 978-4-9906400-0-2。

外部リンク

札幌市北区役所

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