篠路福移湿原

篠路福移湿原について

篠路福移湿原（しのろふくいしつげん）は、北海道札幌市北区篠路町福移に位置する重要な湿地です。この湿地は、篠路清掃工場の西側にある「あいの里・福移の森緑地」のさらに西に広がっています。この地域は、かつては絶滅危惧種として日本の環境省のレッドデータブックにも掲載されていた希少な種類、「カラカネイトトンボ」が生息する唯一の場所でもあります。

湿原の歴史

篠路福移湿原は、和人の入植以前から存在していた石狩湿原のわずかな名残りです。福移の開拓が始まった当初、暖房用燃料を得るために泥炭が切り出された結果、深さ1〜2メートルほどの四角い池が形成され、湿原の水域が拡大しました。
しかし、その後の原野商法により、湿原一帯は600を超える地権者による私有地となり、不法投棄などが報告されるようになりました。この結果、土地の埋め立てが進み、湿原の生態系に大きな影響を与えました。

1995年には、北海道札幌拓北高等学校の理科研究部がカラカネイトトンボの生息状況を調査し始め、翌年には「カラカネイトトンボを守る会」が設立され、環境保護活動が開始されました。当時、湿原の面積は20ヘクタール以上ありました。

環境保全の取り組み

しかし、2001年4月にかけて、排雪業者による埋め立てが急激に進み、湿原の面積はわずか5ヘクタール以下にまで縮小しました。これに対抗すべく、「カラカネイトトンボを守る会」はNPO法人化し、土地を購入するナショナルトラスト運動を開始しました。会の努力により、2014年6月時点で管理地として11510平方メートルの土地を取得しました。

それでもなお、業者による埋め立て作業は続き、「カラカネイトトンボを守る会」は札幌地方裁判所に提訴し、残土受入差止等請求事件を起こしました。2014年7月に下された判決では、購入した土地の大部分への残土搬入の禁止が命じられましたが、業者が許可を得た土地への搬入は自由とされ、篠路福移湿原は公的保存対象として認定されませんでした。

2016年には、最高裁で「守る会」の敗訴が確定しました。その理由は、業者による搬入先が特定できなかったためです。業者の社長は、「法律に従って事業を行っている」と主張しました。一方、札幌市は啓発活動に協力する姿勢を示しつつも、具体的な保全策には民有地であることから慎重な姿勢を崩していないのが現状です。

結論

このように篠路福移湿原は、カラカネイトトンボなどの貴重な生物を守るための重要な場所であり、その保護活動は今後も続けられていく必要があります。地域と行政、さらには市民の協力が求められています。

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