篩部

篩部（師部）とは

概要

篩部（しぶ）は、維管束植物における重要な組織の一つで、光合成によって生成される有機物の輸送を担い、植物の成長や機能において多くの役割を果たします。篩部は篩管や篩細胞、篩部繊維、篩部柔細胞などで構成されており、植物体内の物質の流れを調整しています。この組織は光合成産物を他の部分に運搬するため、植物のエネルギー効率に大きな影響を与えます。

篩部の名前の由来

「篩部」という名称は、篩管の内部にある隔壁に多数の孔が見られることから、ふるいのようだと考えられ命名されました。しかし、この「篩」は当用漢字に含まれなかったため、1956年の『学術用語集 植物学編』では「師部」と表記されることが定められました。その後も「師部」という表記が主流となりましたが、専門書や多くの教科書では元の「篩」が使われることが一般的です。

篩部の構成要素

篩部は主に次の要素で構成されています：

• - 篩要素: 有機物の輸送を担う管状の細胞で、光合成産物が主にここを通して移動します。
• - 篩部繊維: 機械的な支持を提供するために発達した細長い死細胞で構成されています。
• - 篩部柔細胞: 有機養分を蓄積する役割を持つ細胞です。

これらの要素が相互に作用し、植物体全体の健康を維持しています。

篩要素の詳細

篩要素は篩管要素と篩細胞に大別されます。篩管要素は篩管を形成し、上下に連結されています。篩板と呼ばれる隔壁に広がる篩孔を通じて、物質の移動が行われます。細胞は生細胞ですが、多くの内部構造が退化しており、物質通過が容易になっています。篩要素の功能は一時的であり、通常数ヶ月内に更新されます。

篩管要素

篩管要素は篩管を形成し、上下の隔壁には篩板が存在します。篩板には篩孔が集まっており、さまざまな形状やサイズを持つことが特徴です。篩管要素は伴細胞と連携し、物質の輸送に必要な糖などを交換しています。これに対し、篩細胞は細長く、側面に篩孔が散在していますが、効率は篩管要素に劣ります。

篩部繊維

篩部繊維は、植物体の機械的支持に寄与する細長い死細胞です。通常、高い細胞壁を持ち、周囲の組織を強化します。この部位は、植物が成長する際に特に重要であり、化学物質や毒素からの保護にも寄与します。

篩部柔細胞

篩部柔細胞は、短柱状の生きた細胞で、澱粉や脂肪を貯蔵します。植物の成長と維持に重要な役割を果たし、多くの維管束植物に存在するため、どのような植物でも重要です。

篩部の機能

篩部は主に有機物の輸送を担っており、光合成によって得た糖を植物全体に供給します。糖の輸送は「篩部輸送」と呼ばれ、これにより植物は成長や繁殖に必要なエネルギーを確保します。また、篩部は植物体の物質貯蔵や機械的支持にも寄与しており、植物の全体的な健康を保つために不可欠です。

篩部輸送

篩部輸送は、篩要素を通じて行われ、有機物をソースからシンクへと運搬するプロセスです。これには、内圧や浸透圧の変化が関与し、植物内での物質の分配を調整しています。このメカニズムにより、植物は効率的に栄養を利用し、成長を促すことができます。

これら全ての機能や構成要素、そしてその重要性が、篩部が植物の生命活動において極めて重要である理由と言えるでしょう。

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