簡公 (召)

簡公（かんこう、生年不詳 - 紀元前513年）は、春秋時代の召の君主であり、姫姓召氏に属します。名は盈（えい）といい、荘公の子として生まれました。

生涯

簡公の生涯は、当時の周王朝を巡る激しい権力闘争と深く結びついています。簡公が歴史に登場するのは、魯の昭公24年（紀元前518年）のことです。この年、簡公は南宮嚚（なんきゅういん）とともに、甘の桓公を伴い、王子朝（おうしちょう）に謁見しています。この出来事は、当時の周王朝における政治的な対立を示すものと考えられています。

その後、昭公26年（紀元前516年）11月には、晋軍が鞏（きょう）を攻め落とすという事件が起こります。この事件は、周王朝の権威が失墜し、諸侯の勢力が強まる中で起きたもので、簡公の立場にも大きな影響を与えました。そして、この出来事をきっかけに、簡公は王子朝を追放することになります。

王子朝の追放は、周王朝内部の権力闘争が激化する中で行われました。この時、王子朝の一派は、召氏の族をはじめ、毛の毛伯得（もうのはく）や尹の文公（いんのぶんこう）、南宮嚚らと共に周朝の典籍を持って楚へと亡命しました。彼らの亡命は、周王朝の混乱を象徴する出来事であり、簡公は、この混乱の中で、周の敬王（けいおう）側につくことを決意します。その結果、簡公は劉の文公や単の武公と盟約を結び、敬王を支持する姿勢を明確にしました。

しかし、簡公の統治は長くは続きませんでした。昭公29年（紀元前513年）3月、簡公は洛邑（らくゆう）の人々によって殺害されました。この事件は、周王朝の混乱が極みに達し、君主の権威が失墜していたことを示しています。

簡公の生涯は、春秋時代の動乱期を生き抜いた君主の一人として、その政治的決断と、その後の悲劇的な末路を通じて、当時の社会情勢と権力闘争の激しさを伝えています。

脚注

昭公24年、26年、29年の記述は『春秋左氏伝』昭公によるものです。

参考文献

『春秋左氏伝』昭公

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