簡公 (斉)

簡公（かんこう）について

簡公（かんこう、? - 紀元前481年）は、春秋時代における中国・斉国の君主であり、姓は姜、名は壬（じん）です。彼の治世は波乱に満ちており、周囲の敵勢力との抗争や内部の権力争いが絶えませんでした。

生い立ちと背景

簡公は、斉の先代君主である悼公の子として誕生しました。彼の父親である悼公は、斉国の統治をしっかりと行っていましたが、政局は常に不安定で、特に周辺諸国との関係は緊張した状況にありました。簡公は、父と共に魯に逃れた際に、闞止（かんし）という有能な人材に出会い、彼との関係が深まりました。

政治的な困難

紀元前485年、簡公が若い頃に悼公が暗殺されるという大事件が発生します。この出来事により、簡公は君主としての重責を一手に背負うことになります。呉の王である夫差が水軍を指揮し、斉を攻撃しましたが、斉の軍はこれを撃退することに成功しました。これにより、簡公は一時的な安堵を得ることができましたが、多くの敵を抱える状況は変わりませんでした。

晋国の将軍である趙鞅が斉に攻め込むと、彼は斉の重要な資源である犁（農耕器具）と轅（車の前方部分）を奪い、高唐の城壁を壊すなど、斉国に深刻な打撃を与えました。この頃、簡公は斉国の指導者として国民から支持を受け、復権を目指していきます。

戦争と裏切り

紀元前484年の春には、簡公は魯に進攻し、清まで達しました。しかし、魯は呉と連携し反攻に出ると、5月には博を攻略し、嬴に達しました。斉と呉の軍は艾陵で交戦し、斉軍は惨敗を喫しました。この戦闘で、公孫夏や閭丘明らが捕らえられる事態になり、簡公の政治基盤も震撼しました。

この混乱期に、簡公は相国の闞止を重用しましたが、田恒という有力な家系がこれを危険視します。簡公の御者である田鞅は、田氏と闞氏の力が拮抗することを懸念し、どちらかを排除することを進言しましたが、簡公は耳を貸さず、両者のバランスを維持しようとしました。

悲劇の結末

それでも、紀元前481年の5月、田恒がクーデターを起こし、闞止を攻撃して殺してしまいます。簡公は、田恒に捕らえられ、6月にはその地で殺害されるという悲しい結末を迎えました。

簡公の短い治世は、春秋時代の複雑な政治情勢を如実に物語るものであり、彼の死後、斉国はさらなる混乱に見舞われることとなります。彼の物語は、権力がいかにして容易に転がり落ちるかを教えてくれる重要な歴史の一部として位置づけられています。

もう一度検索