減反政策

減反政策について

減反政策は、戦後の日本において米の生産量を調整するために実施された農業政策です。この政策の基本的な目的は、米作農家に対して作付け面積の削減を要求し、米の生産を抑制することにありました。その名の通り、「減反」という形で農業の調整が図られたのです。具体的には、1970年度から実質的にスタートし、2018年度にその役割を終えました。

歴史的背景

日本人にとって米は、主食として深く根付いており、その重視される位置は歴史的にも明らかです。しかし、戦前の日本では、米の生産量は現在と比べ半分ほどであり、収量も不安定でした。特に1933年には米の在庫が増加し減反方針が議論されましたが、翌年には東北地方で冷害が発生し、飢饉に見舞われるなど、米の安定供給は確立されていませんでした。

戦中の米不足を受けて、1940年ごろからは食糧管理制度が導入され、政府の管理下に置かれるようになりました。これは配給制によるもので、戦後も続きました。1945年には食糧難が深刻化し、特に都市部では餓死者が出る事態が発生していました。

戦後の経済援助と食文化の変化

占領軍主導の食糧管理制度の下、アメリカからの食糧援助が行われる一方、学校給食にはアメリカの影響を受けた洋食が取り入れられ、日本人の食文化が欧風化していきました。1952年に栄養改善法が施行され、米を主食とする傾向とは逆に、欧米風の食事が理想視されるようになりました。これによって、米の年間消費量は次第に減少していきました。

減反政策の導入とその影響

1965年からは、米の自給が一時的に実現したものの、アメリカの小麦文化との影響で米の消費がさらに減少していきました。余剰米の発生が問題視される中、1970年には減反政策が本格的に始動しました。この時、農家からの反発もありましたが、実際には希望者も多く、特に青森県などでは予想以上の減反希望者が集まりました。

この政策は、農業の転作を推奨することで進行しましたが、農家自身も米を引き続き栽培しながら、別の作物を作る必要がありました。転作奨励金などが支給される中でも、多くの農家は米の生産を減少させざるを得ませんでした。

1985年には再度の凶作があり、その後も生産調整は続けられましたが、生産量は少しずつ減少していきました。日本人1人あたりの米の消費量も1990年代半ばにはひと頃の半分以下にまで落ち込む結果となりました。

政策の終焉とその影響

2018年に減反政策は終了し、その後は米の価格形成が市場で行われるようになりました。生産者団体が自主的に生産量を決定する体制へと移行し、作付けの自由度が増しました。しかし、長年の影響があったため、日本の農業構造には依然として問題が残る状況です。

減反政策は、米の生産量や消費量に大きな影響を与えましたが、その影響は今後も農業界や食文化に色濃く残ることでしょう。政策の変遷は、日本の農業風景や食習慣、さらには社会全体の食糧に対する意識の変化にも大きく関連しています。

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