米山検校

米山検校の生涯と業績

江戸時代において、視覚障害を持ちながらも多彩な才能を発揮した米山検校（よねやま けんぎょう、本名は山上徳左衛門益平）は、1702年に越後国に生まれました。彼は、貧しい農民家庭に生まれた盲人でありながら、持ち前の鍼術の腕前を駆使して出世を果たしました。彼の壮絶な人生は、当時の人々に希望と勇気を与えたことでしょう。

米山検校は12歳か17歳または18歳の時に江戸に上京し、たったの300文の金を手にしていました。しかし、江戸での生活は困難を極めました。ある吹雪の日、行き倒れてしまった彼を救ったのは、当時の奥医師である石坂宗哲でした。この救いが、彼を鍼医としての道へ導く重要なきっかけとなったと言われています。ただし、米山検校が生きていた時代背景を考慮すると、この記録には異説もあり、石坂家の他の家族が関与していた可能性が指摘されています。

救われた後、米山検校は鍼術を学び、医師としての道を歩み始めます。この経験を背景に、彼は鍼医としての腕を磨き、次第に名声を高めていきました。また、彼は賭博場を利用して資産を築く一方で、自らの故郷を助けるために、宝暦の飢饉時には米を送るなどの社会貢献にも尽力しました。

1754年には、「鍼道指南之学校設立」という文書を越後の各領主に送付し、盲人学校の開設を嘆願したという記録があります。彼が設立した鍼道指南学校は、約2年間運営されましたが、他の鍼医の反対に遭い廃止されてしまいました。しかし、その教育内容は、現代の教育制度に近いものであったと高評価されているのです。

米山検校の子孫には、幕末の著名な剣豪である男谷信友や、勝海舟が含まれています。特に勝海舟は、米山検校の家系において大名貸であった男谷家を6人兄弟の中から継承することになります。彼の孫たちは、彼の精神的影響を受け、幕末の時代を生き抜くこととなりました。

墓所は、故郷である長鳥村に位置し、彼の家族によって代々守られています。米山検校は、貧困と障害を乗り越えた人物として、当時の人々にその存在を強く印象付けました。彼の人生は、日本の歴史の中で多くの人に語り継がれるべき物語であるでしょう。

最後に、彼の業績を知るために、「評伝 銀のつえ：米山検校をさがして」という書籍が出版されています。この書は、彼の人生や業績、そして多くの誤解を解くために書かれたもので、米山検校の真実の姿に迫るものとなっています。

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