検校

検校（けんぎょう）

検校とは、平安時代から江戸時代にかけて存在した荘官および盲官の職名であり、社寺や荘園の管理などを担っていました。室町時代以降、検校は盲目の官職として最高位の称号となりました。江戸時代には、京都に総検校が設けられ、関東には総録検校が置かれるなど、重要な役割を果たしていました。検校の盲官は専用の衣服や杖を持つことが許されたほか、様々な位階制度が整備されていました。

検校の起源

検校の概念は中国の官名「点検典校」に由来しますが、日本では主に平安時代・鎌倉時代に荘官の職名として用いられました。特に寛平8年（896年）には、東寺の益信が石清水八幡宮の検校に任じられ、その後も高野山や熊野三山などで重要な役職として広がりました。また、仁明天皇の子、人康親王が失明後、盲人を集め琵琶や詩歌を教えたことが、検校制度の始まりとされています。人康親王の影響を受けた盲人らが検校や勾当という職名を与えられたのがその後の発展へとつながります。

室町時代・江戸時代の展開

室町時代には、検校明石覚一が『平家物語』を編集し、足利幕府から保護を受けて勢力を増しました。江戸時代に入ると、幕府は盲人を奨励し当道座が整備されました。この時期には、盲人たちが三曲として呼ばれる新しい音楽スタイルを持ち、江戸や京都において著名な音楽家として活動していました。

江戸時代には、検校はその地位と権限を拡大しました。特に職惣検校になると、その社会的権威は十五万石の大名に匹敵するほど強大でした。検校の位階も73段階あり、上位10名は「十老」として知られていました。また、検校には平曲や三弦、鍼灸などの技術が求められ、彼らの中には音楽家や医師として名を馳せる者もいました。

検校になるためには多額の費用が必要であり、そのために金銀の取引が行われることもありました。さらに、この過程で高利な資金貸しが認められ、座頭金と呼ばれる資金源が得られるようになりました。しかし、これが原因で、一部の検校は悪行を働きそれに伴う摘発もありました。

明治維新以降の変化

明治維新後、盲人の地位は大きく変わり、1871年には盲人の官職が廃止され、検校制度も終息を迎えました。この制度が無くなることで、盲人は職業選択の自由を得ましたが、同時に特権も失われました。今日においても「検校」という称号は京都の伝統的音楽団体などで用いられていますが、昔の特権的な地位とは異なるものです。

有名な検校

様々な検校が存在し、それぞれに重要な功績を残しています。例えば、近代箏曲の父とされる八橋検校や、生田流箏曲の創始者である生田検校などが代表的な音楽家です。一方で「藪原検校」は講談や歌舞伎に登場する架空の悪党として知られています。

検校の歴史は日本の音楽文化形成においても重要な役割を果たしており、多くの音楽ジャンルや技術に影響を与えました。その影響は今日においても続いています。

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