米田庄太郎

米田庄太郎：社会学の先駆者、その生涯と業績

米田庄太郎（1873年2月1日 - 1945年12月18日）は、日本の社会学者であり、京都帝国大学教授として教鞭をとった人物です。彼の業績は、社会学、特に心理学的社会学の分野において、日本における先駆的なものとして高く評価されています。

生い立ちと教育

米田庄太郎は、1873年に奈良県添上郡杏村（現在の奈良市杏町）で、農業を営む家庭に生まれました。出自は被差別部落であり、この出自が彼の人生に大きな影響を与えたと言われています。彼は村立辰市小学校、大阪府立郡山中学校（現在の奈良県立郡山高等学校）、奈良英和学校で学びました。奈良英和学校時代には、キリスト教聖公会の宣教師アイザック・ドーマンから洗礼を受け、キリスト教の思想にも触れました。

1891年、米田はドーマンの助手として上京し、ドーマンとともに『比較宗教学』の編集に従事しました。その後、1895年に渡米し、ニューヨークの米国国監督派神学校に入学。さらに、コロンビア大学大学院でギディングスに師事し、社会学や統計学を学びました。1900年にはフランスに渡り、コレージュ・ド・フランスでガブリエル・タルドに師事しました。

社会学者としての活動

1901年に帰国後、米田は1902年に同志社高等科の教授に就任。同志社高等科が同志社専門学校（現在の同志社大学）に改称されると、経済学科の教授として社会学、社会政策、経済学、統計学を担当しました。1907年には、京都帝国大学文科大学に社会学の講座が開設されると、講師としてその講座を担当しました。1920年に京都帝国大学教授に就任。

1913年には、建部遯吾に協力し日本社会学院の創立に関与しました。1925年に京都帝国大学教授を退職後も、1942年まで同大学の経済学部、法学部、農学部で嘱託講師として講義を続けました。1945年、疎開先の大阪府豊能郡東郷村で亡くなりました。

研究内容と業績

米田庄太郎は、ガブリエル・タルドやゲオルク・ジンメルらの学説を日本に紹介し、心理学的社会学を導入しました。彼の研究は、社会思想研究の分野でも大きな業績を残しています。門下からは、高田保馬や大阪市の社会調査を主導した山口正など、多くの有能な研究者が育ちました。また、社会問題研究にも取り組み、大原社会問題研究所の設立に尽力し、社会福祉分野を担当しました。大杉栄や賀川豊彦などにも影響を与えたと言われています。

顕彰

米田庄太郎の生家跡である奈良市杏町には、「米田庄太郎博士生誕の碑」が建てられています。これは、彼の功績を称え、その生涯を後世に伝えるためのものです。

人物

学問的に極めて優れた業績を持っていたにもかかわらず京都帝国大学教授への昇進が遅れたのは被差別部落出身だったためという説もありますが、『解放新聞』（2009年5月11日）は「事実はどうやらそうではなかったようだ。かの有名な喜田貞吉ですら、教授就任までは米田と同じ年月を要したという」と評しています。

著書に『現代人心理と現代文明』『輓近社会学論』など単著33冊、論文は278本、新聞などに寄稿したものは157余があります。

米田庄太郎は、日本の社会学の発展に大きく貢献した人物であり、彼の研究や思想は、現代の社会学にも大きな影響を与えています。彼の生涯は、困難な状況にあっても、学問への情熱を燃やし続けた人物の模範として、私たちに多くの示唆を与えてくれます。

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