米田町 (加古川市)

米田町（よねだちょう）

概要

米田町は、兵庫県加古川市に属する一地域を指します。現在の米田町は、昭和31年（1956年）に加古川市に編入された、かつての印南郡米田町のうち船頭（せんどう）地区と平津（ひらつ）地区を合わせた区域によって構成されています。

地理

加古川市域の南西部に位置し、東側は市内を流れる加古川を隔てて加古川町と隣り合い、南側は高砂市、北側は東神吉町とそれぞれ接しています。地域内には「米田町船頭」および「米田町平津」という二つの大字が存在します。面積は約3.41平方キロメートルです。2013年12月1日時点の統計では、人口は5,929人でした（男性2,775人、女性3,121人）。

歴史

米田町の歴史は、かつて独立した村であった船頭村と平津村の歩みに深く関わっています。

米田町船頭地区

現在の米田町船頭地区は、明治22年（1889年）までは印南郡船頭村と呼ばれていました。古くはこの地域で加古川が二筋に分かれて流れており、船頭地区はその中州に位置していました。そのため、人々は加古川を渡る旅人のための渡船業を主な生業としていました。加古川城主・糟谷武則の弟である糟谷武政が、大坂夏の陣後にこの地に帰農したという伝承も残されています。

江戸時代に行われた治水事業により、西側の流路が堰き止められ、その跡地は開墾されました。しかし、加古川に近い低湿地であるため、度重なる水害に悩まされ、農地の開発や発展はなかなか進みませんでした。

米田町平津地区

現在の米田町平津地区は、明治22年（1889年）までは印南郡平津村でした。その名の由来は、かつて当地に存在した荘園名に由来すると伝えられています。慶安4年（1664年）には、浄土真宗本願寺派の寺院である福正寺が創建されました。

明治22年、船頭村と共に平津村も印南郡米田村の一部となり、行政区域が再編されました。大正7年（1918年）からは加古川の大規模な河川改修工事が着工され、昭和8年（1933年）に竣工するまで長期にわたり行われ、地域の治水環境が大きく改善されました。

近代以降、地域には産業の進出が進みます。大正8年（1919年）には日本毛織印南工場が操業を開始し、これに伴い工場施設だけでなく、社宅や休養施設なども次々と建設され、地域の経済と景観に大きな変化をもたらしました。戦後、昭和25年（1950年）10月6日には国民健康保険直営宝殿病院（現在の加古川中央市民病院）が開院し、医療体制も整備されました。

昭和31年（1956年）9月18日、兵庫県合併審議会の裁定を経て、印南郡米田町のうち船頭地区と平津地区が加古川市に編入されることが決定し、現在の米田町として加古川市の一部となりました。その後も地域の生活基盤の整備は続き、昭和55年（1980年）4月1日には加古川夜間急病病院が、平成7年（1995年）4月には加古川歯科保健センターが、そして平成18年（2006年）には大型商業施設のロックタウン加古川が開業するなど、公共施設や商業機能が拡充されていきました。

教育

地域内には加古川市立川西小学校が設置されています。中学校については当地域内にはなく、該当地区の生徒は加古川市立神吉中学校へ通学する区域となっています。

地域施設

公共施設

地域住民の生活を支える施設として、加古川歯科保健センターや加古川西市民センターなどが設置されています。

企業

主要な事業所としては、長きにわたり地域経済の一端を担ってきた日本毛織印南工場があります。また、生活関連サービスとして加古川船頭郵便局や米田郵便局なども立地しています。

商業施設

地域内の買物需要を支える商業施設としては、マックスバリュ加古川西、ナフコ西加古川店、ロックタウン加古川などが集積しています。

寺社

歴史の項でも触れた福正寺は、米田町平津に位置する浄土真宗本願院派の寺院です。松月山を山号とし、阿弥陀如来を本尊としています。1664年の創建以来、地域の信仰を集めています。

交通

鉄道

最寄り駅の一つとして、JR西日本山陽本線の宝殿駅が利用可能です。宝殿駅は当地域の南東部に位置し、広域への移動に便利な交通結節点となっています。

道路

地域内を東西に横断する国道2号は、主要な幹線道路として機能しています。その他にも、兵庫県道390号（広野古新田加古川線）、兵庫県道391号（曽根魚崎線）、兵庫県道43号（三木宍粟線）などが地域を結び、交通の便を確保しています。

出身著名人

この地域には、郷土史家として著名な平野庸脩（ひらの ようさい）が縁の人物として挙げられます。彼は播磨地方の歴史や地理に関する貴重な記録である「播磨鑑」を著した人物です。

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