米窪満亮

米窪満亮の生涯と業績

米窪満亮（よねくぼ みつすけ、1888年9月16日 - 1951年1月16日）は、日本の労働運動家、小説家、政治家として知られています。彼は日本海員組合の副会長を経て、戦後日本社会党に所属し、片山内閣の国務大臣、さらには初代労働大臣を務めました。また、筆名として「米窪太刀雄」も有名です。

生い立ちと初期の経歴

米窪は長野県東筑摩郡の農家に二男として生まれました。家庭は貧しく、特に母親が一家を支えていましたが、米窪が17歳の時に母が亡くなります。その後、町の医師の家で住み込みの学童として学資を稼ぎ、旧制松本中学を卒業します。

卒業後、彼は海に憧れ、商船学校に入学。1912年から1913年にかけては練習船大成丸に乗り込んで世界一周の航海に参加しました。この経験は彼の著書「大成丸世界周航記」として朝日新聞で連載され、後に夏目漱石により「海のロマンス」と改題されて出版されました。

労働運動への道

商船学校の実習後、米窪は日本郵船の航海に従事しましたが、彼はそこで海員の過酷な待遇を目の当たりにしました。これを受けて、彼は船員の待遇改善を訴え、労働運動に身を投じます。特に1919年にはILO（国際労働機関）の会議に日本代表として参加するなど、国際的な舞台でも活動を展開しました。

彼はまた、日本海員組合に参加し、組合の編集部長や副組合長に就任。労働組合の統一を目指し、日本労働倶楽部の書記長としても尽力しました。

政治家としての活躍

1928年には日本で初の普通選挙が行われ、社会民衆党から衆議院議員に立候補しますが落選。その後も挑戦を続け、1932年に社会大衆党から初当選を果たしました。1945年の終戦以降は海員組合の再建に努力し、日本社会党の結成にも参加しました。

1947年には片山内閣で無任所国務大臣に就任し、その後労働省が新設されると初代労働大臣に任命されます。彼は公私共に清廉な人物であり、自らの立場から当時の労働運動にも大きな影響を与えました。

最後の時期

米窪は社会党の左右対立の中で調停役を務めるも、1951年に病に倒れその生涯を閉じました。彼の死は労働運動や政治の界隈に大きな衝撃を与え、同時にその業績は日本の労働運動史において重要な位置を占めるものとなっています。彼の墓は多磨霊園にあります。

米窪満亮の生涯は、労働者の声を政治に届けるために尽力した情熱的なものであり、彼の功績は今でも多くの人々に尊敬されています。

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