米谷佳晃

米谷佳晃：特撮・怪獣デザイン界の異才

米谷佳晃（よねたに かこう）は、日本を代表するアートクリエイターの一人であり、特に特撮や怪獣デザインの分野でその才能を発揮しました。アート・サークル「MUTANTS」の代表としても知られています。

生い立ちとキャリアの始まり

1968年、『少年マガジン』誌上での怪獣デザイン公募が、米谷のキャリアの転機となりました。この企画を通じて、前衛美術家である高山良策と出会い、彼のアトリエ「アトリエMay」に出入りするようになったことが、その後の活動に大きな影響を与えます。

1970年からはアートクリエイターとして、円谷プロダクションや東映などの映像作品で、企画、キャラクター創造、特殊美術デザイン、論評など、多岐にわたる分野で活躍を始めます。特に、『ウルトラセブン』の怪獣デザイン募集企画に「MUTANTS」の一員として参加したことが、円谷プロの目に留まりました。高山の推薦もあり、『帰ってきたウルトラマン』（1971年）の第3クールから、本格的に怪獣デザインを手掛けることになり、怪獣デザイナーとして公式にクレジットされることになります。それまでのウルトラシリーズでは、美術スタッフが怪獣デザインも兼任していましたが、米谷の参加により、外部の人間による初の専任デザイナーが誕生したことになります。

円谷プロでの活躍と、その後の展開

『ミラーマン』（1971年）や『ジャンボーグA』（1973年）など、円谷作品での活躍を経て、矢島信男が主宰する特撮研究所で『正義のシンボル コンドールマン』（1975年）のヒーローデザインを手掛けます。その後、企画段階であった東宝映画『ゴジラvsビオランテ』（1989年）にも参加し、ビオランテの検討用デザイン（実質的なデザイン原案）を手掛けました。このデザインは、その後のビオランテの造形に大きな影響を与えたと言われています。

また、米谷はテレビやネット番組などの構成ブレーンや各種イベント、出版などにも協力し、テーマパークの世界にも精通していました。博物館や動物園などの展示プロデュースやサーカスのショー開発などのアドバイザーも務めるなど、その活動は多岐にわたります。

SSP日本自然科学写真協会にも創立時から参加しており、現在も会員として活動しています。

主な参加作品

帰ってきたウルトラマン（1971年）- 怪獣デザイン
ミラーマン（1971年）- 怪獣デザイン
緊急指令10-4・10-10（1972年）- 怪獣デザイン
怪獣大奮戦 ダイゴロウ対ゴリアス（1972年）- デザイン
ジャンボーグA（1973年）- デザイン
キカイダー01（1973年）- ノンクレジット
正義のシンボル コンドールマン（1975年）- ノンクレジット
ゴジラvsビオランテ（1989年）- ビオランテデザイン案（ノンクレジット）

著書

* 『華麗なる円谷特撮デザインの世界 ミラーマン☆ジャンボーグA 米谷佳晃デザインワークス 1971〜1973』（2014年、講談社）


米谷佳晃は、その独特な感性と創造性で、特撮・怪獣デザインの世界に大きな足跡を残しました。彼のデザインした怪獣たちは、今もなお多くのファンに愛され続けています。

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