粉体分離器

粉体分離器、または粉末分離器は、気体や液体中に混入した粉末状の固体を分離・分級する装置です。一般的にはサイクロンとして知られています。この装置は、1886年にアメリカのモースによって発明され、その応用範囲は非常に広く、製材所や石油精製施設のような大規模な場所でも利用されています。

原理

粉体分離器の基本的な原理は、遠心分離の応用です。固体が混ざった気体や液体を、漏斗状または円筒状のサイクロンの円周方向から渦を巻くように流し込みます。この際、気体や液体の排出方向はサイクロンの中心から上方向になります。固体は遠心力によって壁面に衝突し、重力で下部に落下して溜まります。一方、気体や液体はサイクロンの中心から排出されるため、固体成分の多くが除去されます。この仕組みは、ダイソンの掃除機にも応用されており、ルートサイクロンテクノロジーとして知られています。ただし、この技術はロスが大きいため、紙パック式の掃除機に比べて吸込仕事率が低いという欠点があります。

分離効率の理論解析では、気体や液体の物性、粉末の大きさなどから計算される無次元数であるストークス数が用いられます。

種類

粉体分離器は、使用される流体の種類によって、気体サイクロンと液体サイクロンの二つに大きく分けられます。

気体サイクロン

身近な例としては、サイクロン掃除機が挙げられますが、脱脂粉乳工場など、粉末を大量に扱う工場内での利用が一般的です。また、工場から排出される煤煙に含まれる粒子状物質の除去や、噴霧乾燥における粉体分離にも利用されています。さらに、粉末状の製品を気体で輸送する際、気体と固体を分離する装置としても活用されています。

液体サイクロン

液体サイクロンは、1939年にオランダの国営炭鉱で濃縮器として実用化されました。その後、1946年に米国へ渡り、1950年には日本にも紹介され、炭鉱を中心に広まりました。現在では、鉱業だけでなく、化学工業や工作機械産業など、幅広い分野で利用されています。

形式

粉体分離器は、流体の流入方向と流出方向によって、さらに細かく分類できます。

流入方向による分類

接線流入式: 分離機本体の軸と垂直な方向から流体が流入します。渦回転を与えるために、本体の接線方向から流体を入れます。
軸流式: 分離機本体の軸と平行な方向から流体が流入します。渦回転を与えるために、ガイドベーン（案内羽根）が取り付けられます。

流出方向による分類

反転型: 捕集したダストと清浄な流体が反対方向へ流出します。
直進型: 捕集したダストと清浄な流体が同じ方向へ流出します。

標準的なタイプは接線流入式反転型で、軸流式反転型はマルチサイクロンによく用いられます。

粉体分離器は、そのシンプルな構造と高い分離効率から、様々な産業分野で不可欠な装置となっています。これらの技術は、環境保護や製品品質の向上に大きく貢献しています。

参考文献

Cyclone Separators -- An Overview (Link broken as of February 2008, archived version here)
Web animation of cyclonic separation

関連項目

エアフィルタ
遠心力
* スパイラル式分離器

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