粟 (単位)

粟（ぞく）とは

粟（ぞく）は、日本および中国において、歴史的に使用されていた体積の単位です。漢字の「粟」は、穀物のアワを意味しますが、単位としてはごく微小な量を表します。

日本の尺貫法における粟

日本の尺貫法においては、粟は非常に小さな体積を表す単位として定義されています。江戸時代に刊行された数学書『塵劫記』によれば、粟は圭（けい）の10分の1と定義されています。圭はさらに小さな単位であるため、粟は非常に微小な単位となります。

具体的には、以下の関係が成り立ちます。

1粟 = 1/10 圭
1圭 = 1/10 勺
* 1勺 = 1/10 合

これらの関係から、1粟は1勺の1万分の1となります。メートル法に換算すると、1粟は約1.8039マイクロリットル（µL）という極めて小さな値になります。これは、現代の感覚では想像しにくいほどの微量です。

中国における粟

一方、中国における粟の定義は、日本のものとは異なります。中国の数学書『孫子算経』によれば、粟は圭の6分の1と定義されています。この違いは、それぞれの国や時代における度量衡の制度の違いによるものです。

このように、同じ漢字の「粟」を用いる体積の単位であっても、国や時代によってその定義が異なる点には注意が必要です。

粟の現代における意味

現代において、粟が体積の単位として用いられることはほとんどありません。しかし、歴史的な文献や、尺貫法を研究する上で、その存在を知ることは重要です。また、非常に小さな量を表す言葉として、比喩的な表現として用いられることもあります。

粟は、尺貫法における微小な体積の単位であり、その存在は、古代の度量衡制度の一端を垣間見せてくれます。現代社会ではあまり馴染みのない単位ですが、その歴史的背景を知ることは、文化理解を深める上で有益でしょう。

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