粟ヶ崎海岸駅

粟ヶ崎海岸駅（あわがさきかいがんえき）

この駅は、かつて石川県金沢市粟崎町に所在していた、北陸鉄道浅野川線の鉄道駅です。主に海水浴客の輸送を目的とした季節限定の臨時駅として機能していましたが、現在は廃止されています。

歴史

粟ヶ崎海岸駅は、昭和初期に多くの海水浴客で賑わっていた粟ヶ崎海岸（現在の内灘海岸にあたります）へのアクセス利便性向上を目指し、1929年（昭和4年）7月14日に開設されました。当時、浅野川電気鉄道が新須崎（現在は廃駅）から当駅まで路線を延伸した際の終着駅として設けられました。開業当初の駅は、海岸の砂浜上、金沢起点から8.6キロメートルの地点に位置しており、浜茶屋のすぐ傍だったと伝えられています。

第二次世界大戦中の1945年（昭和20年）2月11日、戦時下の情勢により、粟ヶ崎遊園前駅（後に内灘駅と改称）から当駅までの区間が廃止されたため、粟ヶ崎海岸駅も営業を一時休止し、廃駅となりました。

戦後、海岸地域への行楽需要が再び高まる中で、1952年（昭和27年）には北陸鉄道浅野川線の一部として、粟ヶ崎遊園前駅から当駅間の営業が再開され、粟ヶ崎海岸駅も復活しました。この再開にあたっては、開業時の砂浜上の立地ではなく、塩害や飛砂による影響を避けるため、砂丘上の高台に移転して駅が設けられました。

その後、金沢港の新たな整備計画が進行し、それに伴い海水浴場が閉鎖される運びとなったため、粟ヶ崎海岸駅は再び運転を休止することとなりました。そして、1974年（昭和49年）7月8日、内灘駅から当駅までの区間が廃止されたことで、粟ヶ崎海岸駅は正式にその歴史を終え、廃駅となりました。現在、かつて駅があった周辺エリアは宅地開発が進み、当時の駅や海水浴客で賑わった頃の面影はほとんど見られなくなっています。

駅構造

粟ヶ崎海岸駅は、海水浴シーズンのみの営業という特性から、簡素な構造でした。駅舎などは特に設けられず、防風林の中に2面の相対式ホームと2本の線路が配置されていたとされています。必要最低限の設備のみを備えた臨時駅でした。

駅周辺

現在、かつての粟ヶ崎海岸駅周辺には、地域住民の生活を支える施設や交通網が整備されています。

海岸線に沿って、石川県道60号金沢田鶴浜線の一部である「のと里山海道」が通っています。
近隣には、大型のショッピングモールやゴルフ場などが立地しています。
「のと里山海道」から内灘駅方面へ分岐する道路の一つは、地元で「鉄板道路」という愛称で親しまれています。
自然景観としては、広大な内灘海岸や内灘砂丘が広がります。
歴史的な遺構として、朝鮮戦争時に砲弾の試射が行われた内灘米軍試射場射撃指揮所跡も近くにあります。
その他、ゴルフ倶楽部金沢リンクス、コンフォモール内灘、石川県立内灘高等学校などが周辺にあります。

隣接駅

北陸鉄道浅野川線（廃止区間）

* 内灘駅 - 粟ヶ崎海岸駅

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