粟屋駅 (芸備鉄道)

粟屋駅は、かつて広島県高田郡粟屋村（現在の三次市粟屋町）に存在した、芸備鉄道（現在のJR芸備線）の駅です。1922年（大正11年）に廃止されました。

駅構造

線路の西側、三次方面に向かって左手に単式ホーム1面1線を有する地上駅だったと考えられています。具体的な駅舎の構造や設備に関する詳細な記録は残っていませんが、周辺の地形や当時の状況から、小規模な駅であったと推測されます。

駅周辺

粟屋駅は、当時の粟屋村内で唯一の鉄道駅でした。しかし、粟屋の中心地は、現在の西三次駅に近い場所に位置しており、粟屋駅自体は中心地から数キロメートル離れた場所にありました。後に開業した三江線の粟屋駅（2018年廃止）も同様に、粟屋の中心部からは離れた場所に位置していました。

歴史

1916年（大正5年）4月15日：芸備鉄道の志和地駅 - 三次駅（現在の西三次駅）間に粟屋停留場として開業。同時に戸坂停留場・玖村停留場も開業しています。
1922年（大正11年）6月7日：廃止。

開業からわずか6年で廃止された背景には、利用者の少なさや経営状況などが考えられます。当時の芸備鉄道は、路線の延伸や経営基盤の強化に力を入れており、利用者の少ない駅の維持は困難であったのかもしれません。

駅跡

現在、粟屋駅の跡地には、ホームや駅舎の遺構と思われる盛土が残っています。芸備線内で最も初期に廃止された駅であるにもかかわらず、比較的明瞭に遺構が残っているのは特筆すべき点です。これは、後に開業し廃止された駅がガソリンカー専用の簡素な「飛び乗り駅」であったことが影響していると考えられます。

当時の面影を残す盛土は、鉄道の歴史を物語る貴重な遺産として、地域の人々によって大切に保存されています。駅跡を訪れることで、かつてこの地に鉄道が走っていたことを感じることができます。

脚注

参考文献：
三次市史
芸備鉄道沿線案内

関連項目

日本の鉄道駅一覧
芸備線
三次市

もう一度検索