粟津キヨ

粟津キヨ

粟津キヨ（1919年 - 1988年9月6日）は、新潟県立高田盲学校の教諭として、その生涯を視覚障害者教育に捧げた人物です。彼女は旧名を金井キヨといい、4歳で失明しました。

生涯

新潟県東頸城郡牧村（現在の上越市）で、代々「しちらえむさ」という屋号を持つ「とうふや」を営む家庭に生まれました。父は金井佐平、母はチヨでした。

9歳の時、私立高田盲学校に入学し、17歳で卒業。その後、陽光会ホームで過ごしました。東京盲学校で行われたヘレン・ケラー歓迎会に出席したことも彼女の人生における重要な出来事でした。

東京女子大学に進学し、勉学に励みました。戦時中は静岡県に疎開し、戦後、富士宮市の点字出版社・富士根園に勤務しました。その後、日本盲女子連盟の初代委員長に選出され、視覚障害を持つ女性の地位向上に尽力しました。

1951年、新潟県立高田盲学校の教諭となり、教鞭を執りました。結婚後、二人の娘に恵まれました。

1976年に高田盲学校を退職後、東京へ移り住み、翌年、「失明女子を考える会」を設立。失明した女性たちが抱える問題の解決に取り組みました。

1986年には、尊敬する斎藤百合の生涯を描いた『光に向って咲け』を岩波書店から出版。女性史青山なを賞、山川菊栄賞、毎日出版文化賞を受賞しました。

1988年9月6日、肝癌のため68歳で逝去。葬儀は日本基督教団下谷教会で執り行われました。

死後

高田盲学校で同僚だった市川信夫は、粟津キヨをモデルにした小説『ふみ子の海―ある盲少女の青春』を執筆。彼女の考え方や生き方、特に少女時代を紹介しました。この小説は後に映画化され、2007年に公開されました。

エピソード

高田瞽女最後の親方・杉本キクイが、毎年秋に金井家に滞在する際、弟子の養女シズと粟津キヨがよく遊んだというエピソードが残っています。

関連作品

映画『ふみ子の海』（2007年）

参考文献

粟津キヨ『光に向って咲け : 斎藤百合の生涯』岩波書店、1986年
市川信夫『ふみ子の海 : ある盲少女の青春　上・下巻』 理論社、1989年
市川信夫『ふみ子の海』 理論社、2006年
タケシタナカ『粟津キヨへの旅立ち : 『ふみ子の海』から』桜雲会、2020年

関連項目

新潟県立高田盲学校
ふみ子の海
斎藤百合
女性史青山なを賞
山川菊栄賞
* 毎日出版文化賞

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