粟津號

粟津 號（あわづ ごう）

粟津號は1945年6月18日に秋田県男鹿市で生まれ、本名は粟津祐教です。俳優としての人生をスタートさせる前に、東洋大学法学部を卒業し、父の影響を受けて役者の道を選びました。彼は日活ロマンポルノの初期から活躍し、独特なキャラクターで多くの作品に出演しました。

生い立ちと初期の活動

粟津は浄土真宗大谷派の住職であり、歌人としても知られる粟津祐逸の長男として誕生しました。船越中学校の在学中、地元の東映教育映画『なまはげ』で主演の座を掴むことで、俳優としての第一歩を踏み出しました。この経験が後の彼の演技への志望感を高めることとなりました。

1961年に秋田高等学校に入学した後、1964年に父の母校である東洋大学法学部に進学。大学では吟詠会に所属しながら、演技への情熱を育みました。卒業後は寺を継ぐ意向があったものの、父の言葉を受けて役者を志し、日本演技アカデミーを経て、劇団俳優小劇場に入団します。

日活ロマンポルノとテレビドラマ

1971年以降、神代辰巳との親交を通じて日活ロマンポルノ作品に数多く出演し、その個性が評価されていきました。日本人的な風貌や体型を活かして、NHKの連続テレビ小説『雲のじゅうたん』や『いちばん星』などで朴訥としたキャラクターを演じて、視聴者の心を掴みました。また、石原プロモーション制作の『大都会』シリーズでは、秋田弁を話す憎めない刑事役として登場しました。

彼の演技は多様で、刑事ドラマではしばしば狂気的な役を演じるなど、硬軟自在の表現力が求められる役者でした。1982年の『太陽にほえろ!』では、石塚刑事を射殺する覚醒剤中毒者役を演じ、その演技力で視聴者に強い印象を与えました。

映画と舞台活動

海外映画にも出演しており、ワーナー・ブラザースの『Women of Valor』では日本軍の鬼軍曹役でフィリピンでロケを行い、イギリス・オーストラリア合作の『HEROES 2』ではシドニーでの撮影に参加しました。映画やテレビドラマに加え、舞台活動も並行して行い、1977年には劇団「ぐるうぷ鬼」を設立し、1995年には自身の劇団「倶子オフィス」を設立して脚本・演出を手がけました。

私生活と晩年

粟津號は詩人の船木倶子と結婚しており、彼の人生は演技だけでなく文学にも深く関わっていました。54歳という若さで胃癌によりこの世を去るまで、彼は多岐にわたるキャリアを通じて、多くの人々に影響を与え続けました。

彼の代表作は数多く、映像だけでなく舞台上でもその演技力を発揮し、多くのファンの心に刻まれています。彼の作品は今でも多くの人々に親しまれ、その存在感は時を超えて受け継がれています。彼の足跡は演劇界において重要な位置を占めており、今後も多くの後輩役者たちの道しるべとなることでしょう。

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