精神日本人

精神日本人（せいしんにほんじん）とは

「精神日本人」とは、中国において、精神的に自らを日本人とみなす若者を指すインターネットスラングです。中国語では「ジンシェンジーベンジェン（Jīngshén rìběn rén）」、または略して「精日（ジンリー）」と呼ばれます。また、「精日分子（ジンリーフェンズ）」という言葉も使われます。

この言葉は、単に日本の漫画やアニメが好きだったり、日本料理を好んだりといった日本文化への興味や愛好を示すものではありません。中国共産主義青年団の見解では、これらの行為は「精神日本人」とは区別されています。

「精神日本人」とみなされるのは、旧日本軍の軍服を好んで着用したり、インターネット上にコスプレ写真を投稿したり、抗日戦争の英雄を過小評価するなど、熱狂的な日本軍国主義への傾倒が見られる場合です。彼らは、自らの国家や民族に対する冒涜や侮辱を伴う行動をすることが特徴とされています。

政府の対応

中国政府は、「精神日本人」の問題を深刻に捉え、様々な対応策を講じています。

2018年2月: 南京戦の激戦地で旧日本軍の軍服を着て記念撮影をしていた中国人男性が警察当局に拘束されました。
2018年3月: 全国人民代表大会で、王毅外交部長（外務大臣）が「精神日本人」について質問された際、「中国人のクズだ」と激怒しました。
2018年3月: 全国政治協商会議では、「精神日本人」の問題を受け、国家と民族の尊厳保護のための新法が提案されました。この提案では、国旗法、国章法、国家法に倣い、国家と民族の尊厳を侵害する行為を処罰する新法の制定が求められました。提案には、ジャッキー・チェンを含む文芸界の委員38名の名前が連なっています。
2018年4月: 中華人民共和国英雄烈士保護法が採択され、5月1日に施行されました。この法律では、抗日英雄烈士の偉業と精神を冒涜したり、侵略戦争を助長・美化したりする行為が処罰の対象となりました。
2019年: 中国共産党の要人を風刺する漫画を描いた漫画家と出版者が、「歴史的事実を歪曲し、国家を侮辱した」として逮捕される事件が発生しました。

これらの対応からも、中国政府が「精神日本人」を単なる個人の趣味や嗜好の問題ではなく、国家の尊厳に関わる重大な問題と認識していることがわかります。

関連用語

哈日族: 日本の文化やファッションなどを好む若者たちのこと。
親日派: 日本に友好的な人々のこと。
日本精神: 台湾で用いられる中国語で、日本の古来の精神性を肯定的に捉えた概念。高潔さと結び付けられ、現代でも頻繁に使用される。
台湾民政府:台湾の政治団体。
満洲国政府 (政治団体): 満洲国にかかわる政治団体。

「精神日本人」は、単なる文化的な興味を超えた、政治的、社会的な問題として、中国で注目されている現象です。

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