精神障害者家族会

精神障害者家族会について

精神障害者家族会は、精神障害者の家族が相互に支えあうことを目的とした団体です。主に統合失調症や気分障害の患者を持つ家庭が中心に活動しています。全国の病院や市町村及び保健所を単位として組織されているため、地域社会に密接に根ざした活動を展開しています。

歴史的背景

1950年代後半の日本では、精神障害者が精神科病院を退院した際に、その受け入れ先である社会資本が非常に不足していました。そのため、精神障害者は家庭に戻ることが多く、彼らの家族は病気に対する正しい知識を必要とするようになりました。これに対応する形で、病院側は家族への教育を行う「病院家族会」が始まりました。しかし、家族の負担は多く、孤立感を抱える家族が増え、より多くの支えを求める声が高まりました。これが地域家族会の誕生につながったのです。

精神衛生法の改正に対抗するため、地域で孤立している家族会を結集し、全国的な組織を形成することが重要視されました。これにより、全国精神障害者家族会連合会（全家連）が1970年代に設立され、家族の声が政策に反映されるよう努めました。

様々な組織形態

精神障害者家族会は、全国連合会組織、都道府県連合会組織、病院や地域に基づく家族会など、多様な形態を持ちます。

• - 全国連合会組織: 家族の意見を国の政策に反映させるために結成されました。過去には財団法人全家連が存在しましたが、2007年に破産。現在は特定非営利活動法人全国精神保健福祉会連合会（みんなねっと）がその役割を担っています。

• - 都道府県連合会組織: 各都道府県単位でデリバリーされ、地域に密着した活動を展開。

• - 病院家族会、地域家族会、施設家族会: 病院単位及び市町村や保健所単位で組織があり、それぞれ支援の形態が異なることで活動の幅が広がります。特に病院家族会は病院内のスタッフとの連携を元に設立されます。

主な活動内容

精神障害者家族会では、機関紙の発行やフォーラム、シンポジウムの開催を通じて家族及びメンバー間での交流を促し、精神障害に対する理解を深める活動を行っています。

また、医療や福祉の向上を図るため、行政機関に対して各種要望を出すことも重要な役割です。過去には、社団法人日本精神神経学会に対して精神分裂病の診断名の変更を提案するなど、実績もあります。

社会的影響と課題

当初は、マスメディアにおける精神障害者への差別的な表現に対して抗議活動も展開しました。特に1974年の「きちがい」なる用語の使用に対する抗議は、大阪府精神障害者家族連合会によって行われ、放送局に対して厳しい要求を突きつけました。このような活動によって、社会における意識変革を促す役割を果たしました。

一方で、家族の立場からの活動が精神障害者本人の望みと食い違うことがあるため、その点においても課題が指摘されています。

まとめと今後の展望

精神障害者家族会は、家族同士が支え合い、心理的なサポートを得るための重要なコミュニティです。また、精神障害者の社会復帰に向けた活動も継続しており、次代への橋渡しとしてその役割も一層重要性を増しています。これからも、家族と精神障害者が共に歩む社会の実現を目指して活動を推進していくことが期待されています。

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