紀元前186年

紀元前186年は、ローマ暦における重要な年であり、ローマ建国紀元568年にあたります。この年、ローマではスプリウス・ポストゥミウス・アルビヌスとクィントゥス・マルキウス・ピリップスが執政官を務めました。

各地の紀年法

この年の各地域の紀年法は以下の通りです。

干支: 乙卯
日本: 孝元天皇29年、皇紀475年
中国: 前漢の高后2年
朝鮮: 檀紀2148年
仏滅紀元: 359年
ユダヤ暦: 3575年 - 3576年

ローマにおける出来事

この年、共和政ローマでは重要な出来事が複数発生しました。

バックス祭の弾圧: マグナ・グラエキアから広まったバックス祭の風習に対し、ローマ元老院は「バックス祭に関する元老院決議」を行い、徹底的な弾圧に乗り出しました。教団は厳しく管理され、少人数での儀式のみが許可されるようになりました。執政官ピリップスは、このバックス教団の調査を担当しました。この出来事は、宗教的な活動が政治的な権力によって規制された事例として重要です。
ガイウス・アティニウスの死: プロプラエトル（前法務官）のガイウス・アティニウスが、ヒスパニア・ウルテリオルでのハスタ包囲中に命を落としました。この事件は、ローマの勢力拡大に伴う地方での軍事的緊張を示すものです。
植民市の建設: シポントゥムとブクセントゥムに植民市を建設するための三人委員会が設置され、グナエウス・バエビウス・タンピルスらが選出されました。これらの植民市建設は、ローマの領土拡大と支配体制の強化を目的としたものでした。

小アジアの情勢

小アジアでは、ペルガモン王国のエウメネス2世がビチュニアのプルシアス1世を破りました。この戦いは、当時の小アジアにおける勢力争いを象徴する出来事です。

中国における出来事

中国では、この年に馬王堆の最初の墓が作られました。この墓は、後の発掘によって貴重な歴史的資料を提供することになります。

誕生と死去

誕生: プトレマイオス6世（エジプト王、紀元前145年没）。彼は後のエジプトを統治し、プトレマイオス朝の歴史に重要な役割を果たします。
死去: 利蒼（長沙国の宰相）。彼は長沙国の政治に大きく関わった人物でした。

まとめ

紀元前186年は、ローマにおけるバックス祭弾圧やヒスパニアでの軍事的衝突、小アジアでの戦争など、様々な出来事が重なった年でした。また、中国では文化的な動きも見られ、各地域で歴史が動いた年であったと言えるでしょう。

参考文献

T. R. S. Broughton (1951). The Magistrates of the Roman Republic Vol.1. American Philological Association
Sarolta A. Takacs (2000). “Politics and Religion in the Bacchanalian Affair of 186 B.C.E.”. The Classical Quarterly (Department of the Classics, Harvard University) 100: 301-310. JSTOR 3185221.

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