紀見峠

紀見峠（きみとうげ）

紀見峠は、和歌山県橋本市と大阪府河内長野市の境界に位置する標高約400mの峠です。古くは紀伊国と河内国の国境であり、高野街道の宿場町として重要な役割を果たしていました。「紀伊見峠」とも表記されます。

地理

和歌山市・岬町から連なる和泉山脈は、紀見峠を境に金剛山地へとその姿を変えます。この峠は、地理的にも重要な境界線となっています。

歴史

近世には、和歌山藩が峠に番所を設け、高野山への参詣者を取り締まりました。高野山への参詣者で賑わい、紀伊側には宿場町が設けられ、多くの人々が行き交いました。最盛期には、明治時代には約70軒の家屋が建ち並び、賑わいを見せていました。

現在も橋本市側に集落が残っており、旧伊都郡柱本村紀伊見峠としてその名残をとどめています。高野山不動坂口女人堂まで六里の地点にあり、峠の旧街道脇には「高野山六里道標石」が設置され、歴史を感じさせます。

交通

1900年に紀和鉄道（現在のJR西日本和歌山線）が開通すると、紀見峠を利用する高野山参詣者は激減しました。しかし、1915年には大阪高野鉄道（現在の南海電気鉄道高野線）の紀見トンネルが完成し、新たな交通の要所としての役割を担うことになります。

戦後、紀見峠は主要地方道堺橋本線（大阪府道23号、和歌山県道4号）となり、1963年には二級国道170号高槻橋本線に昇格しました。その後、1969年には国道170号（当時）の紀見トンネル（1982年に国道371号線に指定替え）、1976年には南海高野線の新紀見トンネル（下り線用）が開通し、交通網はさらに発展しました。

紀見トンネル開通以前は、自動車はこの峠を越えるしかありませんでしたが、現在は交通量が減少し、静かな峠道となっています。しかし、紀見トンネルが定期的な点検工事で通行止めになる深夜には、再び峠道が利用されています。

現在、近辺には南海電気鉄道が開発したニュータウン、南海橋本林間田園都市が広がっています。紀見峠駅や林間田園都市駅があり、住民の足として利用されています。

関連項目

日本の峠一覧
高野街道
和泉山脈
紀見峠駅
林間田園都市駅
南海橋本林間田園都市

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