高野街道

高野街道とは

高野街道は、古くは京都や大阪から高野山へ参詣するための道として利用された街道の総称です。狭義には、大阪府河内長野市と和歌山県橋本市を結ぶルートを指します。

高野街道の概要

広義の高野街道は、高野山へと続く複数のルートを包括的に指します。具体的には、各方面から河内長野市へ至る「東高野街道」「中高野街道」「下高野街道」「西高野街道」と、橋本市から高野山へ向かう「町石道」「京大坂道」「三谷坂」「黒河道」などが含まれます。

高野街道（狭義）は、河内長野市から橋本市を結ぶ旧街道で、現在の国道371号の旧道にあたります。河内長野市は、複数の高野街道が合流する地点であったため、古くから宿場町として栄えました。昭和初期までは、長野温泉や天見温泉といった温泉地も賑わっていました。

河内長野市内の高野街道

特に、河内長野市の長野から三日市にかけては、歴史的な街並みが残る旧々街道（旧高野街道）が「高野街道」として整備され、観光名所となっています。この区間には、登録有形文化財である西篠合資会社旧店舗主屋や、天野酒醸造元、さをり蔵などが並ぶ酒蔵通りがあります。また、旧西篠橋を渡り、国の史跡である烏帽子形城址の東側を経由し、八木家住宅主屋や旧三日市交番周辺の三日市宿へと続いています。

この旧々街道は、烏帽子形城が現役だった時代には、軍事的な理由で城の麓を大きく迂回するルートでしたが、後に長野神社から南下する現在の旧街道（西篠橋経由）が利用されるようになりました。

かつては、高度経済成長期におけるニュータウン開発や建て替え、三日市町駅周辺の再開発などにより、歴史的な街並みが失われつつありました。しかし、住民の呼びかけにより、街道を生かした街づくりと歴史的景観に配慮した再開発がなされ、高野街道の景観整備と街並み再生が意識されるようになりました。

2004年から2006年にかけては、三日市町駅周辺の旧街道の景観舗装や観光名所としての再整備、地域交流センターや自由通路の整備が行われました。近年では、河内長野駅周辺の酒蔵（西篠合資会社旧店舗主屋）を中心としたエリアで、景観を守るための住民の取り組みが進められ、無電柱化や石畳舗装などの景観整備事業が実施されています。

各方面からの高野街道

東高野街道

東高野街道は、平安京や長岡京への官道が前身とされています。京から高野山への参詣路として利用されるとともに、河内国を南北に貫く重要な街道でした。

中高野街道

中高野街道は、杭全神社西の泥堂口にあった一里塚が起点とされています。1148年には、仁和寺宮覚法法親王が高野山参詣の際にこの道を通ったと伝えられています。

下高野街道

下高野街道は、大阪市内から高野山へ向かうための街道でした。四天王寺を出発し、岩室村（大阪狭山市）で西高野街道と合流していました。旧街道筋には、大和川に下高野橋が架かっています。

西高野街道

西高野街道は、平安時代後期から鎌倉時代初期には高野参詣道として利用され、室町時代から江戸時代には、商港堺と高野山との物資輸送で賑わいました。現在の国道310号が、その旧街道に沿っています。

ルート

高野街道には、起点を異にする4つのルートがあり、いずれも河内長野市で合流しました。そこから紀見峠を越えて橋本へ至り、さらに高野山へと向かいました。橋本から高野山へのルートは複数ありましたが、江戸時代まで最も利用されたのは町石道です。

現在の地図上で高野街道と記載されている区間は、堺市堺区から橋本市までの国道310号と国道371号旧道で、西高野街道と高野街道を踏襲しています。

1925年には、高野下駅が高野山に最も近いターミナル駅として開業し、その後高野山まで延伸されるまでの間、駅周辺の椎出地域から高野山への参詣道として、新高野街道（槇尾道・長坂街道とも呼ばれます）が利用されました。

各ルートの詳細

- 東高野街道:

山城国八幡（京都府八幡市）から始まり、洞ヶ峠、河内国田口村（大阪府枚方市）、郡津村（交野市）、中野村（四條畷市）、豊浦村（東大阪市）、楽音寺村（八尾市）、安堂村（柏原市）、国府村（藤井寺市）、誉田村（羽曳野市）、富田林村（富田林市）を経て、長野村（河内長野市）で西高野街道と合流します。

- 中高野街道:

摂津国平野郷町（大阪市平野区）から始まり、西喜連村（平野区）、河内国三宅村（松原市）、黒山村（堺市美原区）、狭山新宿（大阪狭山市）を経て、市村（河内長野市）で西高野街道と合流します。

- 下高野街道:

摂津国天王寺村（大阪市天王寺区）から始まり、庚申街道と合流し、田辺村（東住吉区）、河内国高木村（松原市）、小寺村（堺市美原区）を経て、岩室村（大阪狭山市）で西高野街道と合流します。

- 西高野街道:

和泉国堺（堺市堺区）から始まり、中筋村（堺区）、竹内街道と重複し、舳松村（堺区）、河内国関茶屋新田（堺市東区）、和泉国福田村（堺市中区）、河内国岩室村（大阪狭山市）で下高野街道と合流し、茱萸木新田（大阪狭山市）、市村（河内長野市）で中高野街道と合流し、長野村（河内長野市）で東高野街道と合流します。

- 高野街道（長野から橋本）:

河内国長野村（河内長野市）から始まり、烏帽子形城、三日市村（河内長野市）、天見村（河内長野市）を経て、紀見峠を越え、紀伊国橋本（和歌山県橋本市）に至ります。

- 町石道（橋本から高野山）:

紀伊国橋本（橋本市）から始まり、慈尊院（九度山町）、天野辻、笠松峠、笠木峠を経て、高野山大門（高野町）に至ります。

- 京大坂道（橋本から高野山）:

紀伊国橋本（和歌山県橋本市）から始まり、河根村（九度山町）、不動坂を経て、高野山女人堂（高野町）に至ります。

- 三谷坂（橋本から高野山）:

紀伊国橋本（和歌山県橋本市）から始まり、三谷村（かつらぎ町）、笠松峠、笠木峠を経て、高野山大門（高野町）に至ります。

- 黒河道（橋本から高野山）:

紀伊国橋本（和歌山県橋本市）から始まり、明神ヶ田和、わらん谷の赤石、市平橋（九度山町）、市平春日社の大カツラ、旧久保小学校、黒河峠を経て、高野山奥之院（高野町）に至ります。

高野街道まつり

かつては、河内長野駅から三日市町駅までの高野街道や両駅周辺、烏帽子形城などで、「高野街道まつり」が毎年10月に開催されていました。この祭りでは、高野街道全体でのにぎわいウォーク、スタンプラリー、観光ガイドのほか、駅周辺でのステージイベント、フリーマーケット、地場農産物・旬産市「高野街道宿場市」、酒蔵通りでのフード&クラフト「奥河内コレクション」などが行われていました。

この祭りは、歴史ある町並みを保存する取り組みの一環として始まり、近年では河内長野市の魅力向上を目的とした住民主体のイベントとなっていました。河内長野だんじり祭りと並んで、地域を代表する祭りとして親しまれていましたが、2020年代に入り、新型コロナウィルス感染症の影響で開催が困難となり、2023年5月に実行委員会が廃止を決定しました。

交通アクセス

高野街道（酒蔵通り）

南海高野線・近鉄長野線河内長野駅から徒歩すぐ。

阪和自動車道美原北ICから大阪外環状線（国道170号）や国道309号で河内長野駅まで約25分。

高野街道（三日市宿）

南海高野線三日市町駅から徒歩すぐ。

外部リンク

- 街道、西高野街道ウォーキングマップ - 大阪府のページをここに挿入]'>高野街道、西高野街道ウォーキングマップ - 大阪府のページ
- 街道特集【河内長野市観光協会】をここに挿入]'>高野街道特集【河内長野市観光協会】

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