約束 (1972年の映画)

映画『約束』 (1972)

『約束』は、1972年3月29日に公開された日本の長編劇映画です。斎藤耕一が監督を務め、岸惠子が主演を務めました。萩原健一が岸惠子の相手役を演じ、彼の出世作としても知られています。製作は斎藤プロダクション・松竹、配給は松竹が担当しました。同年度のキネマ旬報ベストテンでは第5位に選ばれています。

この作品は、1966年の韓国映画『晩秋』のリメイクであり、その後も1975年の『肉体の約束』（韓国映画）、1982年の『晩秋』（韓国映画）、そして2010年の『レイトオータム』（韓国映画）と、繰り返しリメイクされています。

あらすじ

物語は、夫を殺害した罪で服役中の松宮螢子を中心に展開します。螢子は模範囚であったため、女性看守に付き添われ、数日間の特別な外出許可を得ます。その目的は、母親の墓参りと、同房の女囚から頼まれた手紙を届けることでした。

故郷へ向かう列車の中で、螢子は一人の男、中原朗と出会います。中原は螢子に気軽に話しかけ、すぐに惹かれてしまいます。彼は螢子に付きまとい、その熱意に負けた螢子は彼と会う約束をします。しかし、翌日、中原は都合が悪くなり、螢子は待ちぼうけを食らってしまいます。それでも中原は、螢子が刑務所に戻る夜行列車に乗る時間を確認し、彼女を追いかけ列車に乗り込みます。

螢子は中原を許し、心を開き、自分の過去を打ち明けます。しかし、列車は土砂崩れで停車してしまいます。女性刑務官が連絡のために席を外した隙に、中原は螢子を連れ出し、愛を告白します。二人はキスを交わし、抱きしめ合います。その後、刑務所に到着した螢子は、中原と2年後の再会を約束します。

中原は、螢子に自分の名前を名乗りますが、実は彼自身も傷害と現金強盗の罪で警察に追われている身でした。彼はその事実を螢子に隠していました。螢子に差し入れようと衣類を買いあさる中原は、待ち伏せていた刑事に逮捕されてしまいます。2年後、螢子は出所し、約束の場所で中原を待ち続けますが、彼は現れません。

キャスト

松宮螢子：岸惠子
中原朗：萩原健一
島本房江：南美江
村井の女：姫ゆり子
村井晋吉：殿山泰司
山室刑事：三国連太郎

スタッフ

監督：斎藤耕一
製作：斎藤節子、樋口清
原案：金志軒、斎藤耕一
脚本：石森史郎
音楽：宮川泰
撮影：坂本典隆

撮影

撮影は1972年2月頃に行われ、9割が車中での撮影でした。岸惠子と萩原健一の最初の撮影は、福井県敦賀市の五幡海岸の墓地で行われました。岸惠子は萩原健一に対して「若者の新しいタイプ」と感じ、萩原健一は岸惠子について「ファンで共演したいと思っていた。とにかくステキな人」と述べています。この共演をきっかけに、二人は親密な関係になったと伝えられています。

『約束』は、運命に翻弄される男女の切ない恋愛を描いた作品として、多くの観客の心に深く刻まれました。岸惠子と萩原健一の演技、そして斎藤耕一監督の映像美が、この映画を不朽の名作としています。

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