素敵にドキュメント

素敵にドキュメントとは

『素敵にドキュメント』は、1987年10月23日から1992年9月25日まで、テレビ朝日系列局で放送されていた朝日放送（ABCテレビ）制作のドキュメンタリー番組です。毎週金曜21時からの放送で、社会の様々なテーマを掘り下げていました。

番組の変遷

番組は、それまでドラマ枠だった時間帯をドキュメンタリー枠に変更してスタートしました。当初はジャーナリストの江森陽弘がキャスターを務め、「知りたい時が見たい時」というサブタイトルが付けられていました。その後、山瀬まみが加わりましたが、1989年には逸見政孝に交代し、キャスターの名称も「情報案内人」に改められました。逸見政孝の起用以降は「いつみの情報案内人」というサブタイトルが使用され、ロゴも変更されました。

番組では、時の人物を追跡したドキュメンタリーや、社会派作品、季節の話題など、硬軟問わず様々なテーマを取り上げていました。1992年頃からはサブタイトルを外し、『素敵にドキュメント』というタイトルで放送されていました。

やらせ発覚と番組の終焉

番組は、1992年9月24日に発覚したやらせ問題によって、突然の打ち切りを迎えました。問題となったのは、同年7月17日放送の「追跡・女子大生、OLの性24時」という回で、ナンパ行為を取り上げた映像にやらせがあったことが判明しました。具体的には、登場した外国人と付き合うOL役が無名の女性タレントであり、デート相手の白人男性と別の場面に登場する黒人男性が事務所の外国人モデルであったというものでした。

この事態に逸見政孝は激怒し、9月25日の放送で「テレビマンとして、ドキュメント番組の制作者として最もやっていけないことをやったのは失格」と批判し、番組降板と番組の打ち切りを発表しました。この事件は、テレビ朝日系全国ネット番組としては、『アフタヌーンショー』のやらせリンチ事件以来の大規模なものであり、社会に大きな衝撃を与えました。

最終回では、スポンサーが全て降板し、公共広告機構（現：ACジャパン）のCMに差し替えられました。番組の最初と最後に、黒バックでお詫びのテロップが流されるという異例の事態となりました。

番組終了後、朝日放送は郵政省（現：総務省）から厳重注意の行政指導を受けました。朝日放送は「最大の鉄則である真実のリポートを踏み外した以上、けじめが必要と判断し、番組の打ち切りを決めた」と説明しました。また、問題のシーンの撮影は外部の番組制作会社のスタッフが行っており、朝日放送のチェック体制に不備があったことも明らかにしました。

番組打ち切り後の影響

『素敵にドキュメント』の打ち切りは、テレビ朝日系列局に大きな影響を与えました。信頼を失墜させ、視聴率も低下させたため、1993年4月にはワイドショーの大幅な改編が行われました。また、本番組放送当時フジテレビ系列だった山形テレビのテレビ朝日系列へのネットチェンジが、山形県民の猛反発を招くなど、テレビ朝日系列局全体の低迷に拍車をかけることとなりました。

テーマソング

番組では、以下の楽曲がテーマソングとして使用されました。

AFTER YEARS / 竹内まりや
抱きしめて / マルシア
恋する瞳 / 髙橋真梨子
遠いprophecy / 高橋真梨子
LONELY FEELING / 慶田朱美

スタッフ

番組には、以下のようなスタッフが携わっていました。

企画：鷹野正（ABC）、石田隆一（電通）
構成：岩井田利治、小松範任ほか
チーフプロデューサー：大熊邦也（ABC）
制作著作：ABC（朝日放送）

関連番組

アフタヌーンショー


『素敵にドキュメント』は、やらせ問題という形で幕を閉じましたが、当時の社会を反映したドキュメンタリーとして、記憶に残る番組の一つです。

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